標的433《第三者視線》 ページ41
「危なかった………実に危ない所でした…」
さああっと幻覚が解け、現れたのはボロボロのDだった。あと少しで取り返しのつかない所だったと静かな怒りを瞳に宿している。
「生き………てる…」
「くう!!」
「私をここまで疲弊させ追い詰めるとは」
悔しそうな炎真と青ざめているクローム。ヨロリと立ち上がる彼は髪を逆立てながらツナへと近付く。
「たかがボンゴレの異端の分際でよくも。許しませんよ、沢田綱吉」
Dはそういうと髪で沢田綱吉の首を縛り上げた。抵抗する気力がないのか、ツナはされるがままになっている。
「砕けろ!!」
首を縛り付けたまま、まるでサンドバッグのように、拳を振るうD。拳を振るう度に骨が折れる音が鳴り響いた。
(沢田綱吉が…壊れていく……)
(全身の骨が粉々だ…)
一方的な暴力を振るわれている教え子にリボーンは拳を震わせた。
「手出しは許さんぞ。アルコバレーノよ」
ふ、と聞こえるは復讐者の声。復讐者はリボーンを取り囲むようにそこに立っていた。
「聞き入れぬのであれば我々が相手になる」
その一言と同時に冷めた眼差しで見つめられ、リボーンは少し目を見開いた。
「オレにはお前達の指図を受ける筋合いはねーはずだ。お前達はDとグルなのか?」
「否。お前を止めるのは別の理由だが今は言えぬ」
「くっ」
奥歯を噛み締め俯くリボーンにDは嘲笑する。
「残念でしたね。アルコバレーノ リボーン」
どさっと地べたに落ちるツナは既に気を失っていた。目を閉じ動かないツナにクロームは青褪める。
「では、ゆっくりご覧になってください。哀れな10代目ボス候補沢田綱吉の最期を」
Dは幻術で大鎌を創った………その時、何者かがDの足首を掴んだ。振り返るDの瞳に映ったのはこれから行われるであろう惨劇を止めようとしている炎真の姿があった。
「やめ…ろ…D…」
「私のボンゴレは以後シモンなどという五流ファミリーと関わるつもりはない。触れるな!」
軽々と炎真を後ろへも蹴り上げるD。炎真は一度地面にバウンドして地に伏した。あっ、と手を伸ばすクロームだが、その手は届かない。
「終わらせよう」
Dは大きく大鎌を振りかざす。その姿を見た炎真はくっ、と悔しそうな顔をした。
動け。体動けと自分自身を叱咤する炎真。だがその体はピクリとも動かない。
(ツナ君を死なせちゃいけない。シモンとかボンゴレとかそんなのどうでもいいんだ!!ツナ君はファミリー以外で出来た…初めての……)
「友達なんだ!!!」
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