臆病なウサギと男勝りのチーター【REBORN】６ (ページ32)

今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:7,272 hit

標的270 ページ32

みんなの視線がラルとホログラムリボーンに集う。ラルとリボーンは否定も肯定もせずにただ入江を睨みつけていた。驚きの声を漏らすツナにこれ以上の話をするつもりはないのか、入江が私たちに背を向ける。

3秒以内に大空のボンゴレリングを渡さなければ全滅は免れないと脅して来るチェルベッロがカウントダウンを開始する。

3、2、1。しかしチェルベッロの手に握られている銃口から銃弾が放たれることはなかった。その前に、2発の発砲音が彼女らの後ろから響き渡ったからである。

「悪く思わないでくれ。少し眠ってもらうだけだ」

予想外の展開に一同、唖然とする。そんな中、入江は深く息を吐き出す。首元を緩め頭をガシガシと荒くかく彼はファスナーを下が脱ぎ捨てた。

「一時はどうなるかと思ったよ…沢田綱吉君と仲間の皆さん」

「あ…キンチョーがとけて…ヒザが笑ってる…」

ふぅ～～っと息を吐き出す入江はその場に座り込み「よくここまで来たね」と敵であるはずの私達に笑いかけた。

「君達を待ってたんだ。僕は君達の味方だよ」

「オレ達の味方だって！？」

愕然とする我々にコクリと頷く入江はそうなんだと肯定する。

「普段の僕の行動は部下と監視カメラによって24時間白蘭サンに筒抜けになってたけど、君達が全てを滅茶苦茶にしてくれたおかげで、やっとこうしてミルフィオーレでの立場を気にせずに話せるよ」

ずっとこの時を待ってた。と告げる入江は未だ震えている膝へと視線を落とした後、再びツナへと向ける。

「この基地でのこの状況での出会いこそが僕らの設定したゴールだったんだから」

「ゴール…？」

「な…何言ってやがる！！」

「ミルフィオーレがボンゴレリングを奪うために君達をこの時代に連れてきたのは事実だが、君達がこの時代に来てから僕を標的にしてここに乗り込むようにさせたのは、僕がミルフィオーレに秘密で仕組んだ計画だったんだ。

君達を鍛えて強くなってもらうために」

入江の言葉にその場にいる皆が驚愕で目を見開いた。自責の念を感じているのかくしゃりと前髪をかきあげる入江は「たくさんひどいことをして…本当にゴメン…」と謝罪する。

「でもこれから来る戦いに備え短時間に飛躍的な成長をしてもらうにはこの方法しかなかったんだ！！」

「これから来る戦い…？」

疑問符を浮かべるツナに入江はそうだと力強く言い切った。

「君達の本当の敵は僕じゃない！！」

「ふざけんな！！」

するとここで獄寺さんの怒号が飛んだ。