標的46 ページ48
「こんにちはー。タマちゃん、遊びに来たよー」
学校は夏休みに突入した。それにより生徒は大はしゃぎである。……まあ、羽目を外しすぎて雲雀家姉弟に目をつけられボコ殴りにあう人もあちらこちらで見かけるが。
そんなある日のこと、セツちゃんが突然遊びに来た。ニコニコと笑いながら手を振るセツちゃんに手に持っていた鉛筆がポロリと落ちる。
「せ、セツちゃん!??」
な、なんでここに?遊ぶ約束なんてしてないのに。
慌てて立ち上がる私はセツちゃんに近付く。セツちゃんの手には白いビニール袋。中には溶けても大丈夫なアイスが二つほど入っていた。
「確かタマちゃん。チョコ大好きでしょ?だからチョコアイスにしてみた」
「せ、セツちゃん……!!」
珍しい。ギブアンドテイク主義のセツちゃんが私のためにアイスを買って来てくれるなんて……っ。
ありがとうとお礼を述べ受け取ろうとするが、サッとあげられ手が空を切る。
「もちろんタダでもらう、なーんてことタマちゃんはしないよね?」
……前言撤回。セツちゃんはセツちゃんだった。
何が望みなのか聞いてみると宿題の丸写しとタマちゃんは満面の笑みで返す。
「回答用紙は配られてないから自力で問題解かなくちゃいけないんだもの。ね、ね!!いいでしょ!タマちゃん!!」
「そ、それではセツちゃんのためになりません!!教えてあげますから丸写しはダメです!!」
「……まあ、いっか」
コロっと意見を変えたセツちゃんは手提げバッグから宿題のプリントを数枚取り出した。
「じゃあ早速、おねしゃす!タマ先生!!」
「もしかしてですけど最初からそれを狙っていたんじゃ…」
「あはっバレた?」
まーチョコアイスあげるんで許してよ、と袋を持っている手を出すセツちゃん。……けれどその手には袋が握られていなかった。
あれ?っと目を丸くする私達は後ろから聞こえるリボーンの声に振り返る。そこには二つのアイスを食べているリボーンがいた。
「り、リボーン先生、何故私の部屋に!??」
「ちゃおっス。タマにセツ、アイス美味しかったぞ」
「あー!!私のイチゴアイスがぁああ」
「……チョコアイス…」
私の……大好きな、アイスが……
「まあそんなに落ち込むなタマ。ツナが補習の問7が解かなくて困ってるんだ、助けてやってくれ」
「……ツナが?」
「ああ。そう言うことだから頼んだゾ」
オレはもう1人の助っ人のところは行ってくると言って窓から飛び出して行ってしまった。
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