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彼曰く、コーヒーを買ってもらった金を返すためによってもらったらしい。
コーヒーって……赤ちゃんなのにコーヒーって……
コーヒーにはカフェインが多く含まれているので夜眠れなくなる可能性がある。
……でも彼はそんなこと関係ないらしい。飲みたいものを飲む。コーヒーは彼の大好物だと聞いたことがある。
なんつー赤ちゃんだ、と聞いた瞬間に思ってしまったのは仕方がないだろう。
「セ、セツちゃん。隣の部屋に行きましょうっ!!」
「え?……んー、そうだね。二人の邪魔したらまずいし」
疑問符を頭上に浮かべる京子さんは首をかしげ、ツナは顔を真っ赤に染め「持田さん!!」と強めに名を呼んだ。
ウブだなぁとまたもやニヤニヤするセツちゃんの腕を引き、私は自室へと戻る。もうちょっとツナをからかってやりたかったのにーとぶーぶー言うセツちゃん。
そういうと思って引っ張ってきたのだ。お願いだからツナをこれ以上辱めないでほしい。可哀想に思えてくるから。
ふぅー、と息を吐く私はセツちゃんに「外、行きますか?」と声をかけた。
勉強道具もない、遊び道具もない私の部屋にいても退屈なだけだろう。
セツちゃんは少し考えた後、うん、と頷いた。
「そうだね〜〜。……はーあなんか面白いこと起こんないかなぁ」
刺激的な何か、例えば弟君が鼻血を垂らして卒倒するような……と具体例をあげるセツちゃんに私は苦笑う他ない。
よし、と席を立った……次の瞬間、隣の部屋から銃声が聞こえた。おそらく…いや絶対リボーンの仕業だろう。
けど一応様子見のため、扉を開ければ下着姿の京子さんが静かに階段をおりていく。その額には黄色の炎が灯っていた。ツナと似た死ぬ気の炎だ。
何がどうして裸に?と首を傾げる私に慌てて後を追うツナとリボーンが視界に映った。
「……い、今笹川さん、下着姿だったよね…」
「そ、そうですね……」
「何それ、面白い!!学校のマドンナが他人の家で服を脱ぐとか!!」
あはは、とセツちゃんは笑う。……笑い事ではないかと。
っと、お母さんの悲鳴が下の階から聞こえてきた。ビクゥと肩が跳ねる私は青ざめる。
何事だと一階に降りて見ると、あちこちがボロボロになったリビングと倒れている二人の姿がある。
……それからボンゴレの業者が壊れたところを直しにきたり、ツナに詳しい説明を受けたり、私とセツちゃんで京子さんに服を着せたのはまた別の話である。
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