標的22 ページ24
「マフィアのボス。裏社会に君臨する闇の支配者。何人もの信頼出来る部下を片手で動かしファミリーのためなら自らの命を張ることも厭わない。
彼のまわりには信望と尊敬の念が取り巻きスラムの少年はヒーローと崇めたてる」
音読をする声が隣の部屋から聞こえてくる。と同時にへぇそうなのかという一際高い声も。
それはツナの家庭教師リボーンだ。彼と会ったのは昨日の夕方、帰ったらすぐに対面した。……パンイチ姿のツナと一緒に。
最初はかなり戸惑った。ツナの家庭教師と聞くもんだからかなりの出来る青年かと思っていたが……こんな赤ちゃんだなんて。
しかもおしゃぶり下げてるし、スーツ姿だし、なぜか拳銃持ってるし。
日本は銃刀法違反という法律がある。その為、拳銃は一般人が持っているわけがない。逮捕される。
彼は語った。自分は殺し屋だと。そして、彼の本当の仕事はツナをボンゴレファミリーというマフィアの10代目ボスにすることなのだと。
ツナ以外にも10代目候補はいたが、みんなご臨終らしい。それでツナに白羽の矢がだったわけだが、正直何故?と思うばかりだ。
もちろん、そんな疑問にもリボーンは説明してくれた。私とツナの先祖はボンゴレファミリーの初代ボスだったらしく、私達はその血を受け継ぐ者、らしい。
けれどそんな話、聞いたことがない。お母さんもお父さんも何故教えてくれなかったのだろう。
それで話は昨日に戻るのだが、ツナが猪の如く速く走れたのは、ボンゴレファミリーに伝わる特殊弾のおかげらしい。
なんてこった。凄い。けれどそれ撃ったということですよね?痛かったんだろうな。
ピンポーンとチャイムの音が聞こえたのでセツちゃんが迎えにきたのだと察した。既にご飯は済ませてあるので玄関に出るとセツちゃん、ちゃっかり入っちゃってる。
「おはよタマちゃん。迎えにきたよ!!」
「お、おはようございます。いつもありがとうございます」
「いーってことよ。タマちゃん、よく転ぶからそばに誰かいてやらないとね」
「ち、ちがっ。あの時は石が!!」
クスクスと笑うセツちゃんは、はいはいと軽く受け流し、リビングから顔を覗かせるお母さんに「それじゃあ奈々さん、そろそろ行きますね」と声をかけた。
「ええ!いってらっしゃい、二人とも。怪我しないようにね?」
「もちろんです!!私がいるので怪我なんてさせませんよ」
「セ、セツちゃん!!」
行きましょう。今すぐに!!
腕を引っ張り私は家を後にした。
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