しおりが綴る二人の恋 BH-2 (ページ34)

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BH｢Aちゃん…っはぁ、大丈夫!?｣

ギョンスくんが手を離すと、代わりに屈んで心配そうな瞳で見つめながら撫でてくれるベッキョンくん。前髪から水滴が垂れて、触れてくれる手もすごく冷えてる。風邪引いたばかりなのに、雨の中こんなに走ってきてくれた…

ああ、こんなに安心するものなんだ…震えを通り越して強ばっていた身体が、徐々に解きほぐされてく。胸から鼻にツーンとしたものが混み上がってきて、思わずベッキョンくんにしがみついていた。

BH｢Aちゃん…怖かったな、ごめんな…っ｣

｢っごめ、なさ…っ｣

BH｢いいよ、大丈夫だから…でも待って、Aちゃんが濡れて風邪引いちゃったら大変だからちょっと身体離すな…?｣

｢…っ｣

全てが優しさでできてるようなベッキョンくんだから、言ってくれることは全部素直に聞き入れたいのに…恐怖で我慢が効かなくて、駄々っ子みたいにぎゅうっとしがみ続けるしかなかった。…どうしても今はこの温もりから離れたくなかった。

BH｢俺もぎゅうってしてあげたいけど…Aちゃんが風邪引いちゃったら｢ベク、バスタオル。｣

BH｢お…!ありがとギョンス、!｣

ふわ、と布が被せられて
思わず顔を上げると、優しく微笑んだベッキョンくんが”もう大丈夫だよ、”と囁いて、ぎゅうっと抱き締めてくれた。

タオル越しに何度も何度も頭を撫でてくれる手が…いつもは女性みたいに綺麗だなんて思うのに、今日はやっぱり男らしく感じて…ほっとした気持ちが余計に震えを生んで、また抱きしめる力を強めてくれる。

BH｢…落ち着いた、?｣

｢うん…っ

…わ、ごめんなさい…っまた風邪、っ｣

なんで私…っやっぱり自分のことばっか、ベッキョンくんがびしょ濡れだって言うのに…
慌てて身体を離そうとして、またゴロゴロいう音が聞こえて逆戻り…本当に情けない…

BH｢…Aちゃん、無理しなくていいから、俺が何か力になれてるなら遠慮しなくていいよ。抱き締めてほしいって思ってくれてるなら、ずっと抱き締めるから。｣

KS｢Aちゃんみたいに我慢強い子がこんなになるなら本気で頼りたい時なんでしょ。素直に頼っときな、ベクはすぐに風呂にぶち込むし温かいAちゃんの料理食べるんだから平気。｣

2人の温かい言葉に、もう何年も拭いされなかったこのトラウマまで溶かされていくような感覚になる。…大丈夫、一人じゃない…そう思えることが何よりの救いだった。