バツイチ女の恋事情。 (ページ8)

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EP8. 新人スタイリスト CY ページ8

あれは昨夜のことだった。

今度のカムバックに向けて俺はダンスの練習をしていた。

コンコンッ

『入るでー』

ドアの所には親友のジョンテが立っていた。

『相変わらず熱心やな』

『まあな』

『お前色んな才能あってもダンスの才能はないからな (笑) 』

『うるせぇ (笑)』

目を細めてあははと笑うジョンテ。

『あ、お前腹減っとるやろ？』

『おう、なんも食ってねぇからな』

今の時間は深夜1時。
お昼以来なにも食べてなかった俺の胃は既に空っぽだった。

『やっぱり？そうやろうと思ってチキンとキンパ買ってきた』

『お！さすがジョンテ！！あ、サイダーは？』

『当たり前や。買ってきとる』

『まじ最高ジョンテ』

地べたにあぐらを組みながら座り、チキンとキンパを広げふたりでつついた。

空腹のあまり手が次々とチキンとキンパへと伸びる。

『あ、そういやスタイリストのヌナやめるらしいな』

『そうやねん。なんか産休らしいわ』

『産休か...』

一瞬あの幸せだった結婚生活を思い出した。

結婚していた事はジョンテは知ってる。
けど相手が誰だとかは知らない。

『って、俺の担当誰がやんの？』

『そうそう！それ言わなあかんって思っててん！お前の担当の子、新人の子やけどめっちゃ可愛いねん！』

『え、まじ？』

少しにやけてしまう。

『歳は同い年で、えー... 名前は... シム...』

『シム？』

『あ！そうそう！シム・Aって子！』

サイダーを飲もうとしていた手が止まる。

シム・A....

『どうしたお前。なんか暗いぞ』

『え？あ、いや、別に』

手に持っていたサイダーを飲む。
けど、その名前に少し動揺してしまう。

『新人の子、誰を担当するか言ったの？』

『いや、明日言うつもりやけど』

『そう』

やっぱりそうだよな。
もしAが俺の担当だって知ってたらきっと断ってるはず。
俺に会いたくないだろうから。

俺の担当が元嫁とか...。
色んな意味で複雑だった。

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