離したくない、手。 ページ16
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いつものように手を繋いで歩いた。
そして、いつものようにベンチに座ったんだけど、なんとなく今日はたくさんAヌナに触れていたくて。
手は、繋いだまま俺の膝の上。
風が気持ちいいな。
「ヒョクくん、行っちゃったんだね」
「うん……」
「知り合ったばかりなのに、残念だな」
「除隊したら、みんなで飯行こうよ」
「そうだね、2年後は楽しいことだらけだね！」
ふっと頭に浮かんだ「そうだよ。だから、待っててくれるよね…？」っていうネガティブな言葉は、
俺が握りしめてるAヌナの手の温もりでフッと、消えた。
「ドンへくん」
「んー？」
「海苔巻き、食べる？」
ヌナがニコニコしながら俺を覗きこんだ。
「食べる……けど」
「わかった。じゃあちょっとだけ手を…」
「やだ。」
離れようとするヌナの手をギュっと握った。
「離したくない」
駄々っ子みたいな俺に、「仕方ないなぁ」と小さく笑ったヌナは、そっと俺にもたれ掛かった。
「………実は私、寂しかった」
「………ん………俺も。」
「これからもっと、寂しくなっちゃうね……………………っ」
「ん…………ヌナ？」
ヌナの肩がかすかに震えていた。
「Aヌナ…………大丈夫、大丈夫。」
繋いでいる手を離して、このあいだのAヌナの真似をした。
小さな肩。
俺が……守るよ。
離したヌナの手は、反対の手でもう一度握りしめた。
クスッとヌナが笑った。
「笑ってるの？」
「…なんか、こないだと逆だね(笑)」
ヌナが目にいっぱい涙をためながら笑った。
「ははっ」
俺もつられて笑った。
あぁ。
好きだよ、Aヌナ。
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作者名：しおぴー | 作成日時：2015年11月1日 2時
