【ナツキスバル】化粧2 ページ42
────── 夜になり、いよいよパーティが始まる。
今回の参加者の中には、ロズワールと関係を持ちたい有象無象も溢れかえっていた。
そうなれば、狙われるのはロズワールのみならず、その配下にいるAやスバルも対象となっていた。
「やぁ、君はメイザース辺境伯のところのメイドさんかな?
私も辺境伯とは懇意にしたくてね。どうです?1杯いかがですか?」
中年で小太りの男がAに話しかけてくる。その容姿の割には服装が小奇麗であり、何処かの小貴族であることが伺えた。
「……ありがとうございます」
Aは酒が得意な方ではない。しかし主の手前その誘いを断ることはできないと考え、自ら杯を差し出す。
杯に果実酒が注がれると、軽く会釈をしてくっと飲み下す。
「どうだい、旨いだろう。」
Aには、酒の良し悪しは分からなかったが、「そうですね」と、当たり障りなく返した。
その後も似たような目的の男たちがAに話しかけてくる。ロズワールの名声はここまでのものなのかと、表情に出さずにはいたものの、心底驚かされた。
しかし、一つ気がかりなことがあった。それは、自身が男たちに囲まれていることではない。
この現状で、全くこちらに話しかけてこないスバルのことだった。
いつものスバルならば、こうしてAが男に絡まれると、パーティーであろうが何であろうが助け舟を出して連れ出してくれるというのに。
「(スバルはどうしてるんだろう……)」
周囲を人に囲まれながらもちらりと横目に彼を探すと、彼もまた女性たちに囲まれていた。おおかたスバルに取り入って、あわよくばメイザースの名を自身の領地と縁付けたいのだろう。
自身も同じ状況であるにもかかわらず、Aは言いしれない複雑な心境になる。
きわどい服を着た女性がスバルの腕を抱いて話しかけている。猫のように擦り寄って、腰まであるスリットから生白い足を覗かせている。
初なスバルは……顔を真っ赤にして困り果てていた。胸元のがら空きになった服から豊満な谷間が見られる服装に、スバルは目のやり場を失いフラフラとしている。
「……」
「……どうされました?A殿?」
スバルに意識を向けすぎたせいで、自身の周囲にも人がいることを忘れてしまっていた。
Aは、やんわりと人の好くような笑みを浮かべると、「すみません、人混みに酔ってしまったので……」と軽く会釈をしてその場を離れ、彼のいる場へと向かった。
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「」(プロフ) - 誰かナツキスバルのゆめしょ書いてよぉ…… (2022年9月24日 22時) (レス) id: 4fb2260fe5 (このIDを非表示/違反報告)
「」(プロフ) - 新しい話ができ次第、前作のエピソードを一つ消す予定です。 (2022年5月21日 15時) (レス) id: 4fb2260fe5 (このIDを非表示/違反報告)
「」(プロフ) - リアルのお仕事が死ぬほど忙しいです。 (2022年5月21日 15時) (レス) id: 4fb2260fe5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:「」 x他1人 | 作成日時:2021年9月15日 8時