[女性向け] 短編夢小説リゼロ (ページ44)

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【ナツキスバル】片想い6 ページ44

「……お前、無理、してるのか…？
……俺もさ、Aと同じで、最初の頃はよく失敗したんだ。」

スバルは、寝ている私に配慮し、声量を落して独り言のように呟く。

「ほんとにだめで、正直、レムとラムのこと、すげぇ怖いと思ってた。でも、それでも二人のことが好きだったんだ。だから、信じてもらいたくてがむしゃらに仕事しまくってたら、壊れちまった。」

私がここへ来る前の話をしているようだった。
正直、初耳だ。今はあの双子メイドよりは劣るものの、良き執事となって働けているスバル。そんなスバルでも、はじめは空回りして、努力でここまでのし上がってきたんだ。
そんなことを聞かされたら、私のスバルリスペクトに拍車がかかってしまうじゃないか。

「でも、そんなときにエミリアが、壊れた俺の心を救ってくれたんだ。」

………

「俺はエミリアを尊敬してるし、愛してるし、彼女に見合う男になりたいって思ってる。」

「……」

「だから、今日お前がぶっ倒れたって聞いて、今度は俺がエミリアにしてもらったみたいに、お前を支えてあげなきゃって思った。」

　そんな過去があったなら、私はもう、エミリアには敵わない。そんなことされたら、誰だって恋に落ちる。もう、私の入り込める隙なんてない。決定的だった。

　私も彼に愛してもらえるかもなんて、滑稽にもほどがあるではないか。

「心配だったんだ。俺と同じように、すごく辛いことがあって、うまく行かなかったんじゃないかと思ってさ。」

「そしたら、ほんとにお前、悩んでたんだな。さっきお前の見舞いに行こうと思って部屋まで行ったときに、ラムとAの話……聞こえちまった……。
……ごめんな。」

うそだろ、と思った。
呼吸が、荒くなる。

涙を堪えるのに必死になった。鼻水が垂れ出てきそうで焦る。

「それが、言いたかったんだ。お前を困らせて、ごめん。

どうしても、今日のうちに言っておきたくて……。
明日また、ちゃんと面と向かって言うから……。ほんとに、ごめんな……。」

そう言って、何か言葉に詰まったあと、結局何も言わずに部屋を去っていった。

　その夜、私は枕を濡らして泣き続けることしかできなかった。