【ナツキスバル】片想い2 ページ40
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昨日はよく眠れなかった。
「へへ…」
気色の悪い笑みを浮かばせて、私は思考のドツボにハマる。
私も、エミリアのように彼から愛されたい。
どうしたらいいんだろう。もっと色気を出せばいいのか。どうやって??経験を積むとか。知らない男と、経験を積むのか。そんなことできるのか。自分の容姿では相手の男が困りそうだが。娼館に行くとか。そこで少し働いて……。でもそんなことしたら他陣営に傾いていると疑われないか。
何を考えているんだ。馬鹿じゃないの。
現実的でない解決法を模索する自分の愚鈍さに、腸のどん底からデロデロとした粘着性のある嫌悪感が湧き上がるのを感じて吐きそうだ。
思考に霧がかかる。ぼうっとして歩く。
目の前の壁に、顔面から強かにぶつかった。
そんな感じで、今日はやけに失敗が多い。
昼飯の支度で、包丁により手をしっかりザックリ。治療が追いつきそうにないので勉強中のエミリアのところへ行き、わざわざ勉強を中断してもらって治療。「いいのよ」なんて言ってくれてたけど内心では心底ウザかったろう。こんな喪女に時間を割く彼女は彼の言う通りまさしく天使だった。
結局飯の支度はすべてレムが行ってくれた。私は何もしていなかった。レムは困ったように笑って「次は気をつけてくださいね」と一言。
せめて配膳くらいはと思ったが、転んで作ってくれた飯を床に全てぶちまける。這いつくばって全力で平謝りすれば止められて、今日はもう休めと言われた。
それでもなんとか役に立たなきゃと何度も頼み込んで風呂掃除に任命。
風呂の床の雑巾がけのあと、使った雑巾を片し忘れて踏んづける。あとはツルッと転んで頭を強打。脳震盪を起こしてろくに動けずパンツ丸出し、白目剥いてぶっ倒れているところを発見、今は誰が運んだのかベッドの上。
なんの役にも立てない上に無様で醜態を露呈するだけの私。今まで何をやってきたんだろ。
ゾッとしない。疲れた。辞めたい。何もしたくない。
思い出された自分の醜態は、眼球の裏側から滾々と熱い汁を湧き出させる。
涙なんて流してない。泣いてなんかない。
昨日の夜、私にもチャンスあるかもなんて、思ってなんかない。
【ナツキスバル】片想い3→←【ナツキスバル】片想い(※完全に報われない話。全体的に下品で暗い話になっているので注意。スバエミ、悲恋、下品)
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作者名:「」 x他1人 | 作成日時:2021年4月16日 22時