[女性向け] 短編夢小説リゼロ (ページ37)

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【ナツキスバル】両親6 ページ37

「スバルが…不登校児だった時期があったことは、Aさんもご存知だと思います。」

「は、はい…」

スバルがぴくりと反応を示すが、直ぐに直る。

「私達はその頃、ずっとこの子のことをなんとかしてあげたいと思っていたんです。それでも、この子に心を開かせることはできませんでした」

「…」

「でも、ある時から、だんだんと変わり始めたんです。
朝、二度寝をするのをやめ始めたところから始まって、制服を着て、玄関まで出られるようになったんです。
私達にも、少しずつ本音を打ち明けるようになりました。」

　そうだ。スバルは私と出会って交流をし始めて、ある時から彼は再び学校に行くようになった。おそらく、その過程のことを話しているのだろう。

「それで、ある時ついに、『行ってきます』って。
その時は妻と二人で泣き合いました。」

「……」

「それで、なんで学校に行くようになったのか、息子に聞いたんです。

そしたら、『大切な人ができて、その人に勇気をもらったから』って

それが、Aさんだったんです。まさか、社会人の方だとは思いませんでしたが。」

「……」

　スバルの方を見ると、気まずそうにほっぺを赤くして目を泳がせている。

「息子が変わることができたのはあなたのおかげだと知って、いつか直接お礼をしなくてはと思ったんです。」

　驚いた。そんな風に思われているとは思っていなかったし、それに、彼が学校に行けるようになったのは、純粋に彼自身が気持ちの葛藤を乗り越え、努力を重ねた結果だと思っているからだ。

「……そ、それは、かいかぶりすぎですよ…。
学校に行こうと決断をしたのは彼自身です。単に彼の努力が実を結んだ結果です。
私はそのきっかけにすらならないことをしていただけで、お礼を言われるようなことは何も…」

「いいえ、それでも、私達にできなかった彼の心の支えとなってくれたこと、改めて、感謝いたします。」

　両親二人は、揃って私に頭を下げた。

それに合わせ、スバルも

「俺からも、辛いとき、一緒にいてくれて…その、ありがとうございます。」

と、少し照れながらも軽く頭を下げられる。

「本当に、あの時はAさんがそばにいて、話まで聞いてくれて……、
上手く言い表せないくらい、すごく嬉しかったんです。」

「あ、いや…その…」

　どうすればいいのか分からず、あたふたとする。やばい、ちょっと泣きそうだ。嬉しくて。
すると、彼のお母さんの方から声がかかった。