【ナツキスバル】両親2 ページ33
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夕方。空は暗く曇り、分厚い雲の細い隙間から夕日が覗いていた。
言われた通りの住所へ向えば、少し大きめのしっかりとしたお家。一般的な家庭といえばそうなのだが、少し他の家とは違って見えた。
玄関のチャイムを震える手で押し、返事を待つ。
プツッ
『……Aさん?』
インターホンから聞こえる、その聴き慣れた声に、手の震えが少し収まった。
「あ、スバル、私だよ。入っても……いいかな…?」
『待っててください』
彼はドアまで行って鍵を開け、私を出迎えてくれた。
「どうぞ…」
彼も緊張しているようだ。私より背の高い彼の背中も、今は少し小さく見える。
ドアを開けてくれた彼に、「ありがとう」、とひと声かけて家に入るが、一歩踏み入れるだけでも緊張が抑えられない。
「お邪魔…します……」
カラカラの喉が張り付き、うまく声が出せなかったかもしれない。
すると奥から、
「あら〜、いらっしゃい!上がって上がって〜」
陽気な女性の声がした。
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作者名:「」 x他1人 | 作成日時:2021年4月16日 22時