【ナツキスバル】 電話4 ページ4
「話、聞いてくれてありがとう。嬉しかったよ。
じゃあね。」
「ちょっと待て!!!待て!!切るな!!」
通話を切ろうとしたのに、突然スバルの大声が頭に響いた。
「なに…?」
「なんで俺があんたを嫌いになるんだよ!」
「でもさっき、私のこと嫌いって言ったら、『うん』って言ったじゃない」
「ちっっがうから!あれはちょっと困惑しただけだから!!話を聞け!!」
彼を怒らせたのか。申し訳ない。また誰かを困らせたのだ。本当に、なぜ私は生きているんだろう。
「ごめんなさい…」
「謝らないでくれよ。でもこれだけはわかってくれ。俺はあんたが好きだ。……その…………愛してる…」
「ぅ…」
私から告白したあの日から、全然聞けなかった言葉。
「こっぱずかしててあんまり言えないけどさ、俺はお前が好きだよ。A。」
彼は諭すように、ゆっくりと私に語りかけ始めた。
「大人って、大変だよな。俺はまだガキだから、わかってやった気持ちにしかなれないんだけどさ、責任とか人間関係とかさ。」
「………うん」
「でも、俺は、そうやって必死に毎日頑張って、折れそうになっても俺のこと想ってくれる、あんたが好きだよ。」
「………スバルのほうが頑張ってる…」
「それは本人にしかわかんねーことだろ?比べるものじゃねぇよ。辛いって本人が思ったら、それは辛いことなんだよ。誰かと比べて、それの重さが変わるものじゃない。
まぁ…比べたくなる気持ちは分かるけどな。」
「……うん…」
スバルの言葉は、優しかった。
「誰かに見栄張ろうとして大失敗とか、俺にもしょっちゅうだ。」
「スバルが…?そんなことあるの…?」
「あるよ。17年生きてきて、これが中々治らねぇ。でも、そんなもんだ。」
意外だった。あんなに達観した感性を持つ彼ですらそうなるのか。
「誰だって失敗して、苦しんで、『次はこうならないようにしよう』って強く思っても、いくら一生懸命にやってたとしても、何度もおんなじ間違いするんだ。でもそれは、当たり前のことなんだよ。」
「………」
「あんたが全部、悪いわけじゃないんだ。」
「…っうん……」
「だから俺は、バカでドジでマヌケで、一生懸命で優しくて、かわいいAさんが、大好きだよ。」
「…」
余計な言葉が入っている気がする。そんなことを思える程度には、自分に自信が付いてきていた。彼の言葉の力はすごい。
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作者名:「」 x他1人 | 作成日時:2021年4月16日 22時