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【ナツキスバル】 恋6 ページ28

近くにいた騎士は、一連の話を聞き終えて、彼女に話しかける。

「お怪我の調子はどうでしょうか?まだどこか痛みませんか?」

その声に、完全に二人きりの空気になっていたところを現実へと引き戻される。

 ハッとした二人は、騎士に向き直る。
 Aは騎士に礼を言う。
スバルの方は、Aと話す騎士をジトリと見ていた。

「いえ、大丈夫です。あなたが治療をしてくださったんですね。スバルを助けてくださったことも含めて、ありがとうございます。」

「いえ、とんでもありません。あなたこそ、よく一人で耐えきりましたね。あなたに敬意を」

「え?」

そうすると、その気障な騎士は、Aの手を取ると、その甲にキスを落とす。

「ひ」

「なっ…!?」

Aとスバルの顔がひきつる。

「お、おいテメェっ…!」

 スバルが焦ったように騎士に怒鳴りつけた。

これでAがこのイケメン騎士に惚れ込んでしまったら困る。

……?なぜ困るのだろう……?


スバルは不思議な気持ちだった。
 今朝、彼女の前で、エミリアとともに行動できなかった愚痴を言ってしまったことを、少し後悔していた。

「おっと…驚かせてしまいましたか?
こういうものには慣れていらっしゃらないのですね。申し訳ございません。」



 その後、スバルは終始その騎士に敵意を剥き出しにしながらも、Aをおぶって帰りの竜車へ帰っていった。

 竜車の中で、エミリアたちと合流する。疲れたのだろうか、Aはスバルの肩に寄りかかって眠ってしまっていた。いつもなら、男みたいなやつに寄りかかられるなんて…と退けていたのに、今では退けるどころか緊張すらしている。
様子の変わったスバルに、ロズワールが問う。

「スバルくん、何だか顔が赤いけぇ〜れど、なにかあったのかぁ〜な?」

「ほんと、スバルってばなんだか急にAに優しくなって、ちょっとびっくり。でも、すごーく良いことね。」

「べ、別に…」

竜車に向かう間、背負った彼女の一言が気になる。

「好きだよ」

 聞き取れるか聞き取れないかくらいの小さなつぶやき。それがいやに気になって、スバルはおちおち居眠りもできないのだった。

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作者名:「」 x他1人 | 作成日時:2021年4月16日 22時

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