[女性向け] 短編夢小説リゼロ (ページ23)

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【ナツキスバル】　恋（暴力表現、過激な表現があります。ご注意下さい。）ページ23

エミリア一行は、ウルガルムの大量発生とその討伐、加えて魔獣使いが存在する可能性を王国騎士団まで報告するため、王都まで来ていた。

　エミリアとロズワールは王城の騎士団の詰め所に、Aとスバルはついでの買い出しへ向かうこととなり、スバルはエミリアと行動できないことにかなり愚図ったが、王城など使用人が易易と入れる場ではないことをしぶとく伝え、なんとか妥協をする形となった。
　
「っちぇ〜、俺はエミリアたんとずっと一緒が良いのに…」

　未だにブツクサと愚痴を吐き散らすのは、とぼとぼと歩くスバルだ。その横を背の低いAが、スバルの歩幅に合わせててくてくと慌てて着いていく。

「はは…そう言われるとなんだか申し訳ないな…」

　Aがそう言うと、スバルが後ろをちらりと見やり、少し歩くスピードを落としてAに合わせて歩きだし、

「いやいや！お前は悪くないよ！そーいうわけじゃないんだけどさぁ…」

スバルは慌てたようにそう言い放つ。

　Aは分かっていた。Aとは普通の友達のつもりで過ごせる。けれども、エミリアとの時間は彼にとって自分と過ごす時間よりも貴重なものであることを。

(私は君といる時間が、誰と過ごすよりも大切なのに)

まぁ、ありがちな片思いである。Aはスバルのことが、性の対象として好きだった。

　しかし、彼女は、あまり少女らしく振る舞うことを嫌う癖がある。

　単純に、「自分には似合わないから」と言う理由で、口調が男性的だったり、メイド服ではなく執事服を着せてもらったり。そして、そんな素直になれない自身のことを、ひどく嫌っている。

　それが分かっているから、さっきの言葉はAにはかなり堪えていた。自身が少女らしくないから、スバルには異性とすら見られていないのだろう。その証拠に、最初に会ったときには、「君」なんて呼ばれていたのに、今では「お前」。

　Aは、薄っすらと笑みを浮かべて話をするが、内心はひどく荒んでいた。

　それでも、彼を諦めきれないのは、エミリアがスバルに対してそういった感情を持ち得ないためか、彼のすぐ人を好きになる性格のためか。まだ自分にも機会があるのではないか、と思っているのだ。

　さっき、何気なく自分に歩幅を合わせてくれたことが、その気持ちを強くしているのかもしれない。
　スバルへの好意が高まると同時に、彼への申し訳なさも強くなっていた。
　