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【ナツキスバル】 電話3 ページ3

「どーしたよ、なんかあった?ってか、お前がこういうときは、大体なんかあったときだよな。」

 スバルは私のことをこんなにも理解してくれているのに、私にはスバルの気持ちがわからない。それが、とても申し訳なくて、引け目を感じつつ答えた。

「ごめんね、無視するつもりじゃなかったんだ。少し返事をする元気が出なくて」

迂愚だ、言い訳だ。分かってんだよそんなこと。

 「そっか、そういうときもあるよな。………何があったかは聞いてもいいのか?」

……なんでお前は私に優しくなんかするんだよ。

「……」

「言いたくないんなら言わなくていい。でも、お前が苦しんでるなら、苦しみを俺にも背負わせて欲しい。一人で苦しむな。」

 優しい彼の言葉に、私はゆっくりと話しだした。

「……あのね、すごい、大事なミスしちゃって」

「うん」

「相手にいっぱい頼ってるのに、相手にいい顔したくて、勘違いで間違ったこと伝えちゃって…」

「うん」

「でも都合が合わなくて、まだそれを相手に伝えられてなくて………」

「うん」

「今日もドジばっかりしちゃって。よく確認もしないで、間抜けなこといっぱいして…
相手に迷惑掛けても自分のことばっかり気にしてる私が嫌になっちゃって…」

「うん」

「すごく、申し訳ない気持ちでいっぱいなの…。」

「うん…」

「こんな私じゃみんなから嫌われる…。だから、スバルも私のこと嫌いになったんじゃないかって。」

「うん…」

あっさりと嫌いになった事を肯定されて、私は急に冷静ではいられなくなった。
私の心の支えは、勇気の源は、生きる価値は、今ここでなくなったのだ。こんなに苦しい状況の中で、唯一の救いの神が手を差し伸べることはなかった。









結論は出た。お前に迷惑はかけねぇよ。

冷静さを欠き、早く終わらせようと思った。終わらせるのは、話だけでない。









「……やっぱり、そうなんだ。
…ごめん、くだらない私にずっと付き合わせて…。





………もう、別れよう。」






「は?」





 彼が困惑しているのを知っていて無視した。もう誰にも嫌われたくない。話なんかしたくない。聞きたくない。だから、早くこの地獄を終わらせてやろうと思った。
 そう思いつつも、こんなにも寄り添ってくれている彼に対して、私はなんて利己的で醜い心の持ち主なんだろうと気持ちが悪くなる。彼よりも歳上であるのに、あまりの精神の稚拙さに嫌気が差した。

もう何もかも嫌だった。

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作者名:「」 x他1人 | 作成日時:2021年4月16日 22時

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