【ナツキスバル】 電話2 ページ2
ピロン、と携帯電話の着信音がなる。スバルからだった。画面を見ると、暗がりにメッセージアプリのトーク画面が光っている。
『お疲れさま!仕事終わったか?』
『今終わったところだよ。スバルもお疲れさま。』
直接声を聞かなければ、サクサク指先で返事をすることができた。
『おう!そうだ、さっきオットーと夕飯食ってきたから、今日はAさん家には行かねーかも』
『そっか』
…わたしなんかと会いたくないから、友達と時間を潰してきたのかな。疑心暗鬼のツボにはまる。いや、友達とご飯くらいよくある話じゃないか。そう思い直しても、確かに最近やけに外食が多い気がしていた。
『そーいやさ!今日エミリアたんがちょこっと髪型変えて来てたんだよ!ハーフアップって言うの?それがすっげー可愛くてさ!!』
……また、エミリアのこと話してる。たしかに素敵な子だね。私よりずっとスバルとお似合いだと本気で思う。
『やっぱ折角ならAさんもちょこっとヘアアレンジとかしてみねぇ?絶対似合うって!な!』
………私のいつもの髪型、ダサいものね。私の性格によく似た、しょげたポニーテール。
そんなことを考えれば、声を聴いてもいないのに指先が震えて文字がスムーズに打てなくなった。
『今度また会えるか?そのときにかわいいアレンジ考えておくからさ。それで出かけねぇ?』
…………
『この前一緒に買いに行ったかわいい服、あれ着てまたデートしようぜ』
彼がメッセージをくれているじゃないか。早く返さないと。それでも、手は冷えて動かない。震えすら今はもう起きなくなった。
『どした?』
……………
彼が困ってる。早くしなきゃ。なのに。
『おーい!』
勇気が出ない。
………………
何も言えなくなった。
『……さっきから返事ないけど、なんかあった?』
………………
矮小な自分が暴かれそうで怖い。
『電話、かけるぞ』
しびれを切らした彼は、電話をかけてきた。しばらくして携帯電話のバイブ音がする。少し悩んでから、通話へ切り替えた。
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作者名:「」 x他1人 | 作成日時:2021年4月16日 22時