【ナツキスバル】電話(現パロ、年上) ページ1
「あ…、」
私は今、とんでもないミスに気がついてしまった。
「先方に間違ったこと教えちゃった……」
よくよく確認すれば、過去の過ちに気付かされ、脂汗が全身から吹き出る。相手に好かれようとして調子よく、よく確認もせずに返事をしていたことが裏目に出た。相手方に企画してもらう立場なのに、日程ごと変わる重大なミスを犯してしまった。
「どうしよう…もうこんな時間だし、明日は土日だからたぶん連絡つかないし、すぐに訂正できない…」
日が落ちて薄暗くなる駅のホームの中、事の重大さと先方へのとてつもない罪悪感に、指先が冷えていくのを感じた。
とにかく、やってしまったことをうじうじと悩んでいても仕方がない。そう割り切りったつもりでも、せっかくの土日休みを悶々と過ごす自分の様がまざまざと思い起こされ、憂鬱な気持ちからは抜け出せない。最近は休みもほとんどなく、やっとゆっくりできると思っていたのに。
そう思うと、もう帰宅することさえ億劫だった。鉛のように重たくなった頭で、思い起こすのは、最近付き合い始めたばかりの、頑張り屋の彼のこと。
彼と、スバルと話がしたい。
彼は優しい。若いのに、どこか達観したところがあって、調子の良いことばかり言うくせに、意外と周りのことをよく気する子だった。
私のような、こんなダメ人間のどこを好きになってくれたのか本当に分からない。
「でも、スバルは優しいから、無理やり付き合ってくれてるのかな。」
本当に有り得そうで笑えなくなった。
「話したいな…」
ダメ元で電話でもかけてみようか。いや、やめておいたほうがいいかもしれない。自分のことを好きになれそうにない今、彼が私を好きでいてくれる理由が分からなかったから。情けないことに、この年になっても、全く勇気は出なかった。
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作者名:「」 x他1人 | 作成日時:2021年4月16日 22時