高嶺の花子さん【Takuya.K】

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海には行きたくなくても、潮風には当たりたくなる。






鍵と財布と携帯だけ持って、家を出た。






いつもの道とは、逆方向に歩いて行く。





あっちに行ったら、見つかるかもしんねーし。





何より、…見ちゃうかもしんねーし。





でも、会いたいって願ってしまうのは…





重症だな。






その辺の交差点から、出てきてくんねーかな。






…あの笑顔で、木村さんって呼んでくんねーかな。






携帯の履歴に残ってる、花園さんの電話番号。





そのまま登録すりゃ良いのに、登録できない俺はヘタレ。





…あーあ、また亀梨に怒られるわ。





『何言ってんだよ〜笑 カナが、俺は一番だけど？』


『他の女いるくせにぃ。』





堤防に上がって、腰をかけていると、下の砂浜でいちゃついてるカップルがいる。





…って、あいつ、花園さんの彼氏じゃん…！！





『遊びだってば笑 だからさ、あのコ置いてカナの所来たんじゃんかー笑』


『ほんとにー？』


『ほーんーと。信じて？』






そう言って、深くキスを交わす。






カナと呼ばれた女も、そいつの背中にしっかり手を回してる。






…やっぱ、遊んでんじゃんか。

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