お互いの気持ち ページ21
時間がゆっくりと流れていく。
この話しを切り出していいのかどうか。
いゃ、その前に話しておくべきことがあるな。
「先生、これからのことなんですが。」
「なんだ？」
「私の記憶が消えた今、雄英高校に戻るのは難しいことです。父があの状況ですから、校長と話すことも難しいでしょうし。それに……。」
「それに？」
ふと。思ってしまった。
教師と生徒の恋愛は駄目だ。
先生が捕まることになる。まぁ、お父さんの力を利用すればなんてことはないが。
だが、あの人は先生と私の仲を認めないだろう。
だから……。
「もし雄英高校に戻れたとしても、私は戻れません。」
「は……？」
「だって、先生のことを好きになっちゃったんだから。」
驚いた顔をして私を見る。
沈黙が続く。
私は顔を手で覆う。
せめてなんか言ってくれっ……！恥ずかしさで死にそうだ。
「ほとんどのやつから記憶が消えた今。俺はこっそりなら大丈夫だと思うが。それに、そんな理由で雄英高校をやめてほしくない。」
「……！」
やっぱり、先生は変わらないな。
ん？てか、こっそり？こっそりって？？
「先生。あのー…こっそりとは……？」
「……！その…だな……。」
少し言いづらそうに、私から視線をそらす。
覚悟を決めたのか、私の手を取り口を開いた。
あぁ、心臓が高鳴っていく。
「立香、好きだ。俺と…付き合ってくれないか。」
その答えはもう決まってきた。
そう、これは私の人生。
私の物語。
私が選ぶ道だから。
「はい。ふつつか者ですが、よろしくお願いしますね。」
「はぁ……。」
「凄いため息ですね(笑)緊張したんですか？」
「そりゃあそうだろうよ。一度フラれてる身だぞ。」
あの時の私は、まだ自分の気持に気づけていなかっただけ。
私は笑いながら真実を伝える。
「私、そのふった以前から先生のことが好きだったみたいですよ。」
「はぁっ？！」
「ただ…気づきたくなかっただけです。怖かったんだと思います。人を…好きになるのが。」
少し、私が暗い表情をすると、握られていた手に力が入った。
「俺は何が何でもお前を守るし、大切にする。絶対に…！」
「……ふふっ。その気持ちだけで、私には十分ですね。」
この人を好きになって…本当に良かった。
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作者名：マリア | 作成日時：2022年7月22日 22時
