Sparkle Ⅱ (ページ6)

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「すみません、ちょっと抜けてもいいですか。必ず今日の分は次の練習までにどうにかします。Aのところに行かせてください」

練習室に入って、全員に向けて頭を下げた。反対されるかもしれない。反対されても、今はAのところに行かなければと思った。メンバーはこの上なく大切な人たちだし、この先もずっと一緒に過ごしていきたいと思う人たちだけど、僕にとってそれはAも同じだった。

「……今が、大事な時期だっていうのは分かってる？」

静かになった練習室から聞こえてきたのは、チャニヒョンの落ち着いた声だった。

それはもちろん分かっている、とその旨を伝えると、目線の先の床にチャニヒョンの靴が見えて息を飲んだ。やっぱり今は不味いか、と思ったらチャニヒョンの手が頭を雑に撫でたのだった。

「行ってきな。あの子のとこ、行ってあげな」

チャニヒョンのその声を聞いて、荷物を持って飛び出した。走って走って、Aのマンションを目指した。

どのくらい走ったか、ようやくついたAのマンションを前にしてエントランスで立ち止まった。インターホンを押して、出てきてくれるのだろうか。Aが素直に、鍵を開けてくれるのだろうか。考えていると、後ろから「スンミンさん？」と呼ばれて振り返ると、そこにはAのマネージャーさんがいたのだった。

「あの、すみません、よくないのは分かってるんですけど、Aに会いに、来たんです」

「……そう、私もAに会いに来たの」

マネージャーさんは、いつの日か僕をここに連れてきてくれた時のようにAの合鍵を使ってエントランスのドアを開けた。

僕が唖然としていると、着いてこないのか、という顔で僕を見てくるから、意図をくみ取ってマネージャーさんの後を続いた。

エレベーターに二人で乗ってなんとも言えない、妙に重い空気が流れる。

「このことが会社にバレたらあまりいいことではないから、上手くやってくださいね」

「え……」

マネージャーさんはエレベーターの中、スマホを取りだして、そのスマホを耳に当てた。

電話をかけたというのが分かって、マネージャーさんの声にひっそりと耳を傾ける。

「……A？ごめんね、今日別の仕事が入っちゃって……うん、私は行けなくなっちゃった。またすぐ来るね」

「あの……」

「たまたま、ね。別の事しなきゃ行けないから」

Aの住む階について、マネージャーさんは僕に頭を一度さげてまたエレベーターに乗り込んだ。

マネージャーさんに感謝しつつ、もうすぐそこのAの家へと向かった。