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「A、明るくなったね」
隣にいたヒョンジニが、スマホに映るAの動画を見てそう呟いた。つい最近バラエティ番組に出たAの動画で、ランダムプレイダンスをするAは本当に楽しそうにしている。
Aはいつもカメラの前だと明るく笑顔でいるイメージだけど、それがちゃんと心から楽しそうにしている笑顔だと分かるなんて、友だちなだけあるなと思った。
「スンミナ、寂しいんでしょ」
「何言ってんの？」
「Aが独り立ちしそうだから、寂しい。違う？」
そんな顔してるよ、と僕の顔を見て笑うヒョンジニにそんなことない、と言ったけど、少し思っているのは本当だった。だからと言って、僕らの関係が変わるわけではないから、それはそれでいい。僕だけが胸に秘めていればいいから。
「ヒョンジニがA明るくなったね、だって」
「……今まで私、暗かった？」
「そういうのじゃないと思うけど、雰囲気……表情とか」
「スンミニもそう思う？」
「うん、思うよ」
随分と緩い声で「そっかぁ」と言いながら横から抱きついてきたAの背中を撫でた。世間は旧正月のため僕らも長期休暇をもらっていて、Aの家に遊びにきていた。来月から主演のドラマの撮影が始まるらしく、忙しくなるからと「その分スンミニ充電する」なんて言っていた。
「ねーえ、スンミナ？」
「どうしたの」
「ん」
僕の顔を見上げてきたAにキスしてほしいんだろうな、と頬に唇を落とせば「ちゃんとやって」なんて怒られてしまってお望み通り唇にキスをした。嬉しそうに笑ったAが可愛らしくて、ついでにもう一度唇を重ねる。
「ドラマ、放送始まったらちゃんと見るね」
「お手柔らかに……」
「お手柔らかにって。OSTもやるんでしょ？」
「うん……監督さんが絶対にやってほしいって。不安だけどね」
あんなに悩んでいたAが監督のお願いとはいえ引き受けるなんて、成長したな、と感慨深くなった。
最近のAはいつも楽しそうだった。自分の名前が好きじゃない、と言っていたのに僕がAと名前を呼ぶと、最近は嬉しそうに返事をする。本当に消えてしまうんじゃないかと思った時期もあったけど、今は、ゆっくりとだけど、笑顔の日が増えてこちらもつられて笑顔になってしまうほどだ。
やっぱり、Aには笑顔が似合うし、テレビで映るきらきらとした姿がそれを助長させている。
A、僕の愛おしいA。
どうか君が、いつまでも輝けるように。
END
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作者名：さとう | 作成日時：2024年2月23日 21時
