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パリでのショー関連のことを全て終え、一日だけ観光して帰ってきた。インドア派の私だけど、エッフェル塔からルーブル美術館まで行ってきたし、私の分といつも私にたくさん買ってきてくれるスンミニのためにお土産を買ってきた。
こんな私にも空港にはたくさんの人が来ているらしく、会社のオッパから「絶対離れるなよ」と釘を刺された。海外に行くこと自体久しぶりだったし、昔はグループで固まっていたから心もとない。
歩いていくと、本当にたくさんの人が私に対してカメラを向けていて「Aヤ〜」と名前を呼ばれて少しだけ頭を下げた。かわいい、とかお疲れ様、とかそう言った声には手を振ったけど、途中ぐいぐいと私のほうに寄ってきた男の人に驚いてしまった。
オッパが守ってくれて一安心したけど、そうかと思ったら今度は反対の方から腕を引っ張られて身体がよろけた。すぐに手は離されたから転けることはなかったけど、足を捻ったのかジンジンと響くように痛い。でも大丈夫ですよ、と周りの人に手を振って、なんとか車に乗ったのだった。
「大丈夫？足？」
「いたい……骨折したかも……」
「そんなわけないから大丈夫、後で見てもらおうね」
痛いよ、とオンニに泣きつくも「骨折してたら歩けないから大丈夫」と返されてしまった。骨折の話は別に冗談だったんだけど……
結局、見て貰ったところ捻挫でしばらく安静にしてれば自然に治ると言われた。ちょっと大袈裟だけど、と湿布を貼った上に包帯まで巻かれてちょっとした病人みたいになってしまった。
「大丈夫なの？怪我は？」
「スンミナぁ……これみて……」
「包帯までしてるの？どんな怪我したの？」
「捻挫」
「捻挫……大袈裟じゃない……？」
家に帰ってきて、動画を見たのかスンミニがタイミングよく電話をかけてくれて、足元を見せた。私もちょっと大袈裟にしたからか「はあ……」とため息をつかれてしまった。
「あのね、本場のフランス料理食べてきたんだ〜いっぱい食べれた！それでね、あ、写真送ったでしょ？観光もしてきて楽しかったよ」
「Aのそんな顔、久しぶりに見たかも」
スンミニはさっきの呆れた顔から一変、にこりと柔らかく微笑んで「良かったね」と私に言ってくれたのだった。
「あ、でもフィリックスくんにスンミニが過保護だって笑われてたよ」
「好きにいいな、別に過保護でもいいよ」
「……」
「何も言えないの？」
「うるさい」
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作者名：さとう | 作成日時：2024年2月23日 21時
