Sparkle Ⅱ (ページ22)

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「お酒そんなに飲めない？」

「うーん、どうだろう。ものによるんだけど、シャンパンとかはあんまり得意じゃないよ」

「無理しないでね？Aのことも心配だけど、僕が怒られるから」

分かってるもん、と飾りのように持っていたグラス揺らしてゴールドのそれをじっと見つめた。

あちこちでは英語が飛び交っていて、フィリックスくんのようにペラペラなわけじゃないけど、それなりに喋れていて良かったなと思った。

「さっきA見かけたとき声かけるか迷っちゃった。本当に凄く綺麗だったんだよ。なんていうか、簡単に近づけないオーラがあって……僕がずっと後輩として見てきたAみたいだったから」

「……それは、ありがとう」

デビューしたとき、私はまだ中学生で周りは私よりも年上の人ばかりだったから少しでも大人っぽく見えるように、立方だとか姿勢とか、せめて公の場では凛々しく、綺麗に見えるように研究していたな、と思い出した。

当時のマネージャーさんにも「Aは背もあって足もすらっとして長いんだからシャキッとしなさい」と良く言われていた。

フィリックスくんは私たちのグループの曲をよく聞いてくれていたみたいで、ヒョンジニの友だちだし同い年だから敬語とか気にしないで、と言ったら「うん！分かった！」と嬉しそうにニコニコと返事をしてくれて、あの時は可愛かったなぁ、と思い出した。今は可愛らしさも見えるけど、どちらかと言えばかっこいい。

「……元気ない？」

「ぇ、や、そんなことないよ」

私のことをじっと見つめてくるから目を逸らすと「本当に？」と言ってくるフィリックスくんに、何だかスンミニと重なって「そんなことない」なんて言ったことに罪悪感。

元気がない、というか純粋に楽しめていないという方が正しかった。やっぱりオンニが言っていた告発する、ということもずっと気がかりだし、スンミニのことだってもう大丈夫だ、と本人は言っていたけどその姿をカメラ越しではなくちゃんと見たわけでもないし、まだ私たちのことをどうするのかだって決めあぐねている。

「あ、写真、写真撮ろう、せっかくだし」

「うーん……ま、いっか。スンミニには内緒ね」

「え、送ろうと思ってたんだけど」

「あぁ……」

スンミニがちょっと可哀想、と言ったフィリックスくんに意味があんまり分からなかったけど、せっかくの場だしと写真を撮って送った。

目を細めている犬のスタンプを送られたけど「かわいい？」と聞けば「可愛い」と返ってくるのだから、よく分からない。