Sparkle Ⅱ (ページ11)

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帰り際、スンミニが珍しく嫌がった。いつもなら私が寂しい素振りを見せてしまうのに「あんなこと言わないって今約束して」と指切りげんまんをしたし、家を出てすぐスンミニから電話がかかってきて「またあんなこと言ったら許さないからね」と軽く脅された。

スンミニとまた連絡を取るようになったとはいえ、私の体調が戻るわけでもなく＿少しマシになったくらい＿二週間もしないうちに始まる芸能活動に少し憂鬱になっていた。

私のアイドル時代のコミュニュケーション力が高かったのか、いつもお世話になっているプロデューサーさんや、番組のスタッフさんには「大変だったね」と言われただけで、あの記事のせいで番組には出ないでほしい、と言われなかったからそれは良かったのだけど。

やっぱり信頼というものは大事だなと気付かされた。

「……Aにはスンミンさんがいないとね」

「え、どうしてですか」

「だって部屋が綺麗」

「それは……だって、汚いの、見せたくないし」

「いいことだよ」

オンニに、結局スンミニとよりを戻すことにしたと言うと「やっぱりね」と呆れたように笑ったけど、怒っているわけでもなく、別れなさいと言うわけでもなく、ただ私の頭を撫でていた。

「本当に、来月から仕事できる？もうちょっと休んでもいいのに……七年突っ走ってきて、もう新人でもなんでもないんだから」

「……ファンに、心配かけたくないんです。こんな私でも少なからず応援してくれてる人って、いるから」

私たちはファンがいてこそだと思っている。応援してくれる人がいないと私たちは活動できないし、業界に需要を見出されなくて、結果ダメになってしまう。

たくさんのファンが必要、なんてそういうふうに執着したりはしないけど、散々振り回してしまったファンの人たちのために、憂鬱でも体調が優れなくても少しでも頑張りたいのだ。

オンニと一緒に部屋を片付けて、一息ついているとピコン、とスマホの通知が鳴って見てみれば、パリについたのかホテルでアイエンくんと一緒に撮った写真を送ってくれていた。

「……ふふ、かわいい」

「……やっぱり、スンミンさんと関わってるときが一番いい顔するよ、A。ファンと会うのが一番だろうけど、プライベートでいったら一番」

「え〜……そう、かなぁ……」

何だかちょっと恥ずかしいけど、嫌な気分じゃなくて口角が緩むのが自分でもわかった。