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:53 蘭 ページ4

蘭 side

冷たい雨が容赦なく降り注ぐ。濡れた髪が額に引っ付いて離れる様子はない。

革靴の底を削るような音と雨音が体の奥にまで響く。仕事も終わったし早く戻らなければならないのに体が動かない。

重しがのしかかったかのように体が動かない。あの日のガキの顔が頭から離れない。

誰が見ても俺のガキだと分かる。幼い頃の俺によく似てる。馬鹿らしい。そんなことでこんなに振り回されるなんて。

俺は一体どこで何を間違えたのだろう。というか、俺は何をするにも1歩遅い。もっと早く俺自身の気持ちに気付いていればあいつはまだ俺の隣にいたはず。

「…くそが」

自分が死ぬほど恨めしい。どうして俺はいつも失ってからことの重要さに気付くのだろう。

何ら変わりのない日常なのに何か物足りなくて、どこか寂しい。その原因はあいつが居ないから。ただ、それだけだ。

それだけの事なのにどうしてこんなにも俺がここまで乱されなきゃいけないのか。イライラする。

俺のいないところで他の奴と笑って過ごしているのも、俺に黙って消えたことも何も許しちゃいない。

あいつの代わりなんて他にいくらでもいると思っていたのにこのザマはなんなんだ。

他の色んな女を抱いてもこの妙な違和感は拭えない。甘ったるい香水と耳を汚す声。あいつの姿がチラついてヤ るにヤれない。

あんたから呼んだくせにと、怒鳴られてビンタされた事も多々あった。そんなこと今まで1度もなかったと言うのに。

俺がこんなに落ちぶれているのにあいつは俺とは正反対の位置にいる。俺もそこに行きたいだけなのにあいつは俺を拒んだ。

拒まれる要素なんて無いだろ。だって、あいつは俺のこと好きなはずだし。俺だって多分そう。

相思相愛ってやつ。なのに、なんでわかんねぇかな。

腹の奥から黒い何かが這い上がってきているような不快な感覚。これを全部吐き出せたら俺は元に戻れるのだろうか。

雨は嫌いだ。全部マイナスの思考に持っていかれる。じめじめしていて、空気も汚い。

それに、あいつと初めてあった日も雨の日だった。何をするにもあいつが頭にチラついてイライラする。

もし、またあいつが俺の隣にいてくれるのなら俺はなんだってする。逃げ出さなように閉じ込めて俺以外要らないようにしてしまおう。

どうしてこんなに執着しているのだろう。どうしてこんなにあいつを好きになってしまったんだろう。

あの目に映るのは俺だけでいい。だったらすべきことは決まってる。

「俺、天才じゃね」

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設定タグ:東京リベンジャーズ , 東京卍リベンジャーズ , 灰谷蘭   
作品ジャンル:アニメ
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うさ - 更新楽しみです! (1月19日 16時) (レス) @page9 id: f5f3f838b8 (このIDを非表示/違反報告)
ttakedasaki0906(プロフ) - 更新楽しみに待ってます!!! (2022年11月8日 15時) (レス) @page9 id: 668cdece5e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かか | 作成日時:2022年4月14日 20時

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