Cigar Kiss. (ページ6)

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「なんでそんな悲しそうな顔してんの」

「え？してないから」

「Aが望むなら、俺は今後もAと会ってもいいと思ってるよ？」

こうやってずるいことを言うから照からはずっも離れられないんだ。

いつここを上がるかなんて言われても無いしもしかしたら明日かもしれない、来月かもしれない、来年かもしれない。それでも照に会えるならなんだっていい。

それくらい私は照に依存してるんだ。

「失礼します。照悪ぃんだけどもう1人だけいい？A様の分は悪いのでこちらでお持ちしますので。」

深澤さん。めちゃくちゃ仕事用の敬語と照に対するタメ口が混じってて変になってるよ…っていう言葉は喉元で抑えた。

「行ってきな、ヘルプに相手してもらってるわ。ワンタイが限界だけど」

「悪ぃ行ってくるわ。A待ってて」

「A様、大変申し訳ありません。お客様がどうしても照がいいと申してまして。」

「ぜーんぜん、いいよ～。なんか今日の気分的にヘルプも誰でもいいふっかに任せる～」

「えっ、なんでわたくしのあだ名を…」

だって～、みんな呼んでるじゃんと笑ってみせるとまあA様ならいいですけどと笑うもんだから面白いなと思ってしまう。

「失礼します。ヘルプの蓮です。」

「あっ蓮くんじゃん。どうぞ」

「覚えてて下さったんですか？」

蓮。さっき照に最近のヘルプで1番いい子って言ったから蓮に連れてきたのかな？まあ蓮も蓮で女の子の扱いに慣れてるというか接しやすくて無意識に色恋してる感じ。

色恋なんて誰もができる訳じゃないし人に好まれる容姿がないと出来ない事だと私は同業として思ってるから蓮くんは凄いなって思う。

「覚えてる覚えてる。蓮くん成長スピードが早い」

「なんすか、それ。あ、グラス空いてますね同じの作りますね」

そうやって気づく所とかさりげなく距離を詰める所とかも上手いし成長スピードが早いなって思う要因だよ。

「蓮くんってプライベートでもモテそうだよね。」

「そうっすか？でもあんまりお姉さんに近づきすぎふと照さんに怒られるんで」

「えー、怒んないでしょ。照は～」

「意外とお姉さんの事になるとめちゃくちゃ厳しいんすよ？もしこれも話してるのバレたら俺めちゃくちゃ怒られますもん」

なんて笑ってる蓮くん。彼と話す時は気が楽。

そういう距離の詰め方すら上手いし、一種の天性の才能でしかない。