ピーター ページ3
はげたネズミの代わりに現れたのは指が一本かけた薄汚いおじさん。
頭のてっぺんが少し残念なことになっていて、ネズミのように手を前にして、鼻をひくつかせる。
「やぁ、友よ。
ドール会いたかったよ！」
『…ピーターは可愛かったはず…
やっぱりあのとき死んだんじゃないですかね？』
このおじさんは誰？というメッセージを含めて、私はリーマスとシリウスに言った。
「リーマス、君はブラックのことを信じたりしないだろう？
あいつはわたしを殺そうと…」
キーキー声でピーターは言った。
『今の私の前で、よくそんなウソがつけたものですね。』
余裕のなさを隠すように私は見下すような笑みを見せつける。
『私が封印を解いた時の状態を貴方は見たことあるはずでしょう、ピーター？
吸血鬼の本能が解放される。
それはすなわち、人の心を読み、私を信頼させる術を開放しているということ。』
貴方の心は私に丸見えなんですよ。
そう付け加えれば、彼の膝は小鹿のようにがくがくと震えだす。
「わが友、パッドフット、一緒に殺るか？」
リーマスは袖をまくり、悪友に振り返る。
「もちろんだとも」
シリウスもそれにならうように、袖をまくりあげた。
「あの方の恐ろしさを知らないからそう言えるんだ！
わたしは、ああするしかなかった、そうでないとわたしが殺されかねなかったんだ！」
最後の力を振り絞らんと言わんばかりに、ピーターは哀れっぽく訴える。
もちろん、そんな訴えもバッサリ切り、シリウスは蔑んだ目で見た。
「それなら殺されればよかった！
友を裏切るくらいだったら我々も死ぬだろう。」
ピーターは杖を上げる二人を見て、ひっと小さく悲鳴を上げる。
二人を止めたのはハリーだった。
「やめて。
きっと父さんも、二人がこいつのせいで殺人者になるのは望まない。
それに、ブラックのこともある。証拠として、城に連れて行って、ディメンターに引き渡そう。」
一瞬だけ希望がともったピーターの顔に絶望の表情が広がる。
地下通路の広場の様なところを出るにあたり、逃走防止にピーターをロンに手錠でつなぐ。
外に出れば、ハーマイオニーの猫、クルックシャンクスが暴れ柳の攻撃を停止させる"こぶ"に乗っかっていたので、攻撃は一切来なかった。
安心したのもつかの間のことだった。
そう、今日は満月の日なのだ。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2017年9月8日 7時
