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勉強 ページ10

一年が過ぎた。

二年生になったAと入学した僕。
最初は、言った通り、そこまで関わりがあったわけではない。

入学したての緊張が解けて宿題を夜遅くまで先延ばしにし始めて遊んでいるルームメイトに冷ややかな目線を向けながら僕は一人机に向かっている。
レポートを書くには少し理解できない部分があって、僕は近くにいた年上の生徒に話しかけた。それが僕とAの最初のコンタクトだった。

貴族ということもあってよく屋敷ではパーティーが開かれて、いろいろな人を見てきた。
だからとは言わないけれど、名前の髪と目の色はほかの人ほど珍しいと思わなかったのだと思うし、そこまで記憶にも残らなかったのだろう。

背中まで伸びているのに髪の毛がきれいにろうそくの光を反射しているなと、多分そんなことを考えていたと思う。


「先輩、もし時間大丈夫でしたらすこし勉強のこと聞いてもいいですか?」

重い本を抱いて近くのソファーで本を読んでいる彼女に問うた。
ボードゲームをしているルームメイトに口笛を吹かれて茶化されて、僕はやっぱり聞かないべきだったかと一瞬後悔したものの、勉強でわからないところがあるのは少し気持ち悪い。
それにちょうどいま年上の男の生徒はいなかったのだ。


「もちろん。
何の教科でしょう?」

「えと、薬草学のレポートなんですけど、この薬効のところが…」

「難しいところに気づきましたね、後輩君。
少し待っててくださいね。」

新しい羊皮紙とペンを持ってきた彼女はわかりやすく図解してくれた。
ついでにわかりやすい本をスリザリン談話室の角にある本棚からとってきた。

「簡単に書かれている割に詳しく載ってるから薬草学はこの本がおすすめですよ…
図解が少ないからこの学校の教科書には使われてないのですけど、君ならわかるでしょう。」


この時の僕のAの認識は、年が若いということで上級生向けの本を読むことを否定せずにちゃんと解説してくれるいい先輩。だった。
 
 

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あやにゃん(プロフ) - ベルモットさん» ベルモット様、コメントありがとうございます。 話の筋は一緒でも、結構映画版と原作で違ってきますよね〜 それに原作でも言語で印象がかなり変わってくるので面白いところです(´˘`*) (2020年12月28日 19時) (レス) id: 64c80b7f49 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 死の秘宝を読みはじめました。近頃、原作を読んで気がついたところが、映画と原作の中で違いがあったり、映画オリジナルである部分もあったり、と見返して見ると考え深いですよね。 (2020年12月28日 4時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あやにゃん | 作成日時:2020年11月20日 2時

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