友人関係 ページ9
大きな荷物を引いて彼女はホグワーツエクスプレスに乗り込んだ。
空いているコンパートメントの上の棚にスーツケースを持ち上げて本を読み始める。
すこしたってからドアをノックする音が聞こえ、彼女はゆっくりと顔を上げる。
ぶかぶかの服を着て、黒い髪の毛がまばらに切られた男の子。
若かりし頃のセブルス先輩だ。
「他が、空いてなくて…もしよければ座ってもいいだろうか」
「えぇもちろん。
私はA・天羽。」
「僕はセブルス・スネイプ。
もう少ししたら友人のリリーも来るかもしれないんだけど…」
「コンパートメントは6人乗り。
定員内であれば何人でも構いませんよ。」
特におしゃべりだったわけではない二人が同じコンパートメントに座ったところで特に会話が続くはずもなく、沈黙の中、無駄にペットボトルの水を飲んだり、窓の外をのぞいたりする時間が続いた。
ホグワーツエクスプレスが発車する数分前、赤毛を胸元まで伸ばした女の子がコンパートメントのドアをノックした。
そう。ハリーの母親となるリリー・エバンズ。
僕の隣に立っていたハリーは近くに行こうともがこうとするもすぐに彼女の体を手がすり抜けてしまう。
セブルス先輩はハリーを諭すようにゆっくりと首を振った。
場面が変わってホグワーツが映り出た。
セブルス先輩、リリー・エバンズと一緒に本を読んだり勉強をしている姿だ。
時がたつにつれてグリフィンドールの後のいたずら仕掛人とかかわるようになってくる。
僕が愛し、憎んだお兄様。ハリーの父親のジェームズ・ポッター・痩せて傷だらけのリーマス・ルーピン。そして裏切ったピーター・ペティグリュー。
暗かったAの表情にはゆっくりと色づいていくように笑みが増えていく。
まだ控えめではあるものの、魔法省や屋敷の執務室にこもって仕事をしていた時よりは全然いい顔色だ。
「両親と昔から仲が良かったんだ。」
「そうでなければ命がけで帝王の加護を受けたあなたを救いに行ったりなんてしませんよ。
もちろんご両親への気持ちだけではなく、友人の貴方を助けたいという気持ちもあったでしょうけれど。」
そういえば、彼は複雑そうな顔をやわらげた。
みんながみんな彼を通して両親を見ているとか、英雄を見ていると思ってくだらぬ心労がたまっているのだろう。
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あやにゃん(プロフ) - ベルモットさん» ベルモット様、コメントありがとうございます。 話の筋は一緒でも、結構映画版と原作で違ってきますよね〜 それに原作でも言語で印象がかなり変わってくるので面白いところです(´˘`*) (2020年12月28日 19時) (レス) id: 64c80b7f49 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 死の秘宝を読みはじめました。近頃、原作を読んで気がついたところが、映画と原作の中で違いがあったり、映画オリジナルである部分もあったり、と見返して見ると考え深いですよね。 (2020年12月28日 4時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやにゃん | 作成日時:2020年11月20日 2時