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修繕 ページ41

「Aは…本当にいってしまったんだな」

ポッターは僕のその問いに答えはしなかった。
その代わりにか、スウェットのポケットから砕けた緑の石を取り出した。
彼女が身に着けていたお守りの指輪だ。

籠められていた術が発動した後らしく、石自体は少し暗い色になっていて、魔力を帯びさせても反応を示さない。

 
そうか、Aが去ってしまったのか。

空いてしまった穴が痛む。
どうして人間は悲しくなると胸が痛むのだろう。単なる脳の錯覚で、存在しない痛みであるのに。


僕を変えてくれた恩人にちゃんと別れも告げることもできなかった。
最期に彼女を見たのは家で、別れ際に額にキスを落とされた時だ。

 
彼女の子供達はどうなるのだろう。
レギュラスが引き取ることになるのは、そうとして、彼もこれから忙しくなるだろう。
うちで、母上と一緒に僕たちが面倒を見ることになるだろうか。

でも半吸血鬼、いわゆるダンピールの育て方というのはそうそうお目にかかれるような文献ではないので、よく調べておかなければいけない。

まだ何も決まっていないことなのに、僕はそんな未来を描く。
とりあえずこの悲しみから、逃避だとしても、先に進みたかった。

 
ーーーーーー

「レギュラスのおかげで城の外壁は大方直ったな…」

ポッターと夜に話をしてから3日がたった。
城に残っている人の数は日に日に少なくなっていき、今いるのはDA会合の上級生くらいなものだ。
魔法省役員は事後処理に駆け回っているし、騎士団員は魔法省にこき使われているらしい。

僕、レギュラスとスネイプは要注意人物としてリストに載っているらしく、おとなしく城の修繕作業をしているか、家に閉じこもっているか、魔法省の部屋にいるかの選択を迫られたのでここで作業をしているというわけだ。
先生方の監視があるとはいえ、割と自由にさせてもらえているのでさほど不便は感じていない。


「そう、ですね。
大広間付近の損傷が激しいうえに…刻まれていた模様などが消えていますのでこの辺はシユウと話し合いしないと。」

彼はいつもの深いシルバーの瞳を時計塔に向ける。
夕日がまぶしいのか少し目を細めていた。
 
 

両親→←友人



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あやにゃん(プロフ) - ベルモットさん» ベルモット様、コメントありがとうございます。 話の筋は一緒でも、結構映画版と原作で違ってきますよね〜 それに原作でも言語で印象がかなり変わってくるので面白いところです(´˘`*) (2020年12月28日 19時) (レス) id: 64c80b7f49 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 死の秘宝を読みはじめました。近頃、原作を読んで気がついたところが、映画と原作の中で違いがあったり、映画オリジナルである部分もあったり、と見返して見ると考え深いですよね。 (2020年12月28日 4時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あやにゃん | 作成日時:2020年11月20日 2時

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