一時休戦 ページ5
怒ったロンはそのままレギュラスの胸倉につかみかかった。
おとなしくつかまれたままのレギュラスは明らかにロンよりも冷静で、一見不利な状況なはずなのに、ロンに勝ち目なんてないと思ってしまった。
「ハーマイオニーのために一発殴っておきますか?
僕はそれでもかまいませんよ。それで気が済むというなら。」
「殴ったくらいで気が済むわけないだろ。
レギュラス、お前は何も感じてないとでもいうのか?」
さすがにその発言は感情に任せ過ぎだと、そう口をはさむ間もなくレギュラスはゆったりとほほ笑んだ。
明らかに、この場にふさわしくないような笑み。
「戦争って、誰かが、何かが犠牲になるものですよ。
さ、僕はそろそろ戻らなければなりませんから、殴らないのであれば放してもらえると嬉しかったりするのですが。」
手が真っ白になるほどの力でロンはレギュラスのシャツをいまだ握っていて、放そうという気はみじんも感じられなかった。
ふむ、と小さくつぶやいたレギュラスは僕の右手にあるフラスコを杖なしで彼のもとに呼び寄せた。
壁にもたれかかるスネイプは小さくため息をついて、ゆっくりと上体を起こす。
まだ体になれないのか、それともレギュラスの順応がはやすぎでスネイプが普通なのか、そんなこと知らないし、べつに吸血鬼の生態なんてしるあれもないけれど、眉間に手を当ててだるそうにしている。
「どうせ見せるつもりだった。
それにあのお方も一時休戦とするだろう。」
スネイプがそう予言した通り、次の瞬間脳内に直接声が響いた。
とても不快な、意識を鈍らせる声で、意味がないのが分かっていても両耳を抑えずにはいられない。
魔法族の血が流れるのが損失だから一時引く。
一時間後までに僕が現れなければ…再開する、か。
血が流れるのを嘆くのであればそもそも戦争なんて始めるべきではない。
それにあからさまに上から目線の物言いに、僕は怒りがわいた。
ホグワーツ側だって、戦力的にそこまで負けていないはずだ。
手練れの闇祓いも数人いるし、スリザリン組だって防御に回ってくれている。
マルフォイは魔法石だかアーティファクトだかを配っているし…
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あやにゃん(プロフ) - ベルモットさん» ベルモット様、コメントありがとうございます。 話の筋は一緒でも、結構映画版と原作で違ってきますよね〜 それに原作でも言語で印象がかなり変わってくるので面白いところです(´˘`*) (2020年12月28日 19時) (レス) id: 64c80b7f49 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 死の秘宝を読みはじめました。近頃、原作を読んで気がついたところが、映画と原作の中で違いがあったり、映画オリジナルである部分もあったり、と見返して見ると考え深いですよね。 (2020年12月28日 4時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやにゃん | 作成日時:2020年11月20日 2時