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友人 ページ40

その日のうちに大多数の生徒たちが城を去った。
両親に連れ帰られたもの、ホグワーツエクスプレスで帰ったもの。
ここに残ったのは見知った面々ばかりだった。

大破された大広間は一部修繕作業が行われ、残った生徒や不死鳥の騎士団メンバーが座れるほどにはなっていた。
マクゴナガルが置いたいつもの4つの長いテーブルには誰も寮で別れて座ることはせず、ただただ生きていることを顔も知らぬ生徒と喜び合うのだった。


城の安全はまだ確かめきれていないため、3教室ほどに分かれて全員で寝ることとなった。
主に魔法省勤務のものや騎士団員によって残党狩りや夜中の見回りが行われ、僕たち生徒は静かに夜を過ごせた。
疲労ですぐに眠りにつく者、逆に恐怖や興奮で眠りにつけないものもいたが、横になって少しは体を休められただろう。

僕は後者のほうだった。


静かな夜の教室を抜け出して、星空輝く中庭に出る。
朝まで戦争だったのが信じられないほど静かで、平和だ。
唯一それが現実だったと記すのは城に残った傷と、僕たちにある記憶と、そしてこの世から去って行ってしまった人々だけ。


乾いた芝生に腰を落として風に吹かれていると前から人影が近づいてきた。

ポッターだ。


「君も眠れないの?」

「まぁ…そう、ともいう。
ポッター、お前は今までテント暮らしだったんだろう?
そうとう体に疲労がたまっているんじゃないか」

なんで僕はポッターなんかの心配をしているのだと自分に突っ込んだ。
それは奴もおもったようで、その指摘に目をぱちくりさせながらも僕の隣に胡坐をかいた。


「そうなんだけど…なんだろ。
終わったんだなーって。」

あいつをいち早く倒してやるって、ずっと思ってたのに、終わったらぼーっとしちゃって。
そのままごろんと芝に背中を預けたポッターは両腕を伸ばしていった。


「そうだ、あの時のことまだお礼言えてなかったから…
ルーン文字の刻まれた石、君でしょ?ありがとう。正直魔力の残りが心もとなかったんだ。」

「嘘つけ。
あの後僕が寝てる間校長室やらうろちょろしてたんだろ。何が残りが心もとないだ。」

「嘘じゃないさ。

…君に礼を言うのはなんか変な気分だけど、悪くはない。」

 
 
そういうポッターに僕はなんだそれ、とつぶやいた。
なんだか普通の友人との会話のようでむず痒い。
 
 

修繕→←去った脅威



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あやにゃん(プロフ) - ベルモットさん» ベルモット様、コメントありがとうございます。 話の筋は一緒でも、結構映画版と原作で違ってきますよね〜 それに原作でも言語で印象がかなり変わってくるので面白いところです(´˘`*) (2020年12月28日 19時) (レス) id: 64c80b7f49 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 死の秘宝を読みはじめました。近頃、原作を読んで気がついたところが、映画と原作の中で違いがあったり、映画オリジナルである部分もあったり、と見返して見ると考え深いですよね。 (2020年12月28日 4時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あやにゃん | 作成日時:2020年11月20日 2時

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