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膠着 ページ37

僕に失望しきったらしいヴォルデモートは、逆にもう僕に見向きもしなくなった。
ポッターとにらみ合いを始めてからというものの、両者の魔力がゆっくりと空間を満たしていき、息苦しい。

「よくも俺様のしもべであったものを毒してくれたものだな。」

「毒した…?
それはお前がしたことではないのか。
スネイプも、ブラック家も、マルフォイ家も…苦しんだのは彼らのほうだ。」


ポッターのその言葉に周りにいた生徒や一部の死喰い人が息をのんだのがわかった。
かくいう僕もそのうちの一人である。

正直なところ、ポッターはそこのところは相いれないと思っていたからだ。


それからまた長らく膠着状態が続いた。


僕の息は知らぬ間にどんどん浅くなっていく。

頭の中が泡立つような、そんな気持ちの悪い感覚に抗いながら、ほとんど力の残っていない体で杖を構え続ける。
もしポッターとヴォルデモートが最後の呪文を唱えあったとしても、残量的に周りの人間に被害が及ばぬように盾魔法を展開できるのは極めて短い時間だけだろう。

いつでも発動できるように頭の中でイメージを済ませておく。


 
耳が痛くなるほどの静寂、いつまで続くのかわからない緊張状態が一瞬で終わった。


 
示し合わせたかのように同時に両者の杖から術が発動される。

ポッターは赤の、ヴォルデモートからは緑の。


僕はほんの少し遅れて自身と、周りの傍観者たちを守る盾を顕現させた。


見る見るうちにヴォルデモート側の術は弱まってゆき、最終的にはダンブルドアの墓から奪ったニワトコの杖は天井へと高くはじかれてポッターの手にすっぽりと収まる。


崩れ落ちるヴォルデモートは指の先から崩れ始めていて、一人を除き、だれもがその有様を物音立てずに無言で凝視していた。
恐ろしくとも、世界を恐怖させたその悪名高い魔法使いの最期を目に焼き付けんと。

 

最期→←償い



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あやにゃん(プロフ) - ベルモットさん» ベルモット様、コメントありがとうございます。 話の筋は一緒でも、結構映画版と原作で違ってきますよね〜 それに原作でも言語で印象がかなり変わってくるので面白いところです(´˘`*) (2020年12月28日 19時) (レス) id: 64c80b7f49 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 死の秘宝を読みはじめました。近頃、原作を読んで気がついたところが、映画と原作の中で違いがあったり、映画オリジナルである部分もあったり、と見返して見ると考え深いですよね。 (2020年12月28日 4時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あやにゃん | 作成日時:2020年11月20日 2時

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