勇気 ページ35
ードラコ視点ー
アステリアから受け取った魔法の結晶はすべて使い果たした。
立て続けにぱきぱきと音を立てて砕けたビーズをポケットにしまい、反対のポケットから最後のダイオプサイドを取り出した。
行先がわからないわけではないけれど、僕は100%自分の意思で戦場の真ん中まで行くほど勇気はなかった。
魔法に体と意思が引っ張られて、という言い訳がなかったら僕は人を助けに行くことすらできない。
僕のその行為で何人、何百人と救われるという結果が待っていても、僕は自ら動くことはできないだろう。
大きく息を吸って、冷えた体の節々に血が巡るようにと力をできるだけ抜いた。
気づかぬうちに肩に力が入っていたのか首回りが痛む。
最初はゆっくりと、戦闘音が大きくなってくるにつれて後悔や雑念を置き去るように僕の両脚は走り出していた。
大広間に入った瞬間、歓声が鳴り響いた。
僕の叔母に当たる人物、ベラトリックスがモリー・ウィーズリーによって倒されたのだ。
悦に入った笑いが凍り付き、全身がカラカラのミイラのようにやせ細り、黒いちりに爆散した。
それを見ていたヴォルデモートは耳をふさぎたくなるような甲高い叫び声をあげた。
すぐさま赤い光線がマクゴナガル、キングズリー、そしてスラグホーンの三人に襲い掛かったがその術は何者かによって跳ね返されたようだ。
煙が上がって姿は確認できなかったし、何よりもポッターがおこしたアクションによって僕の意識はそらされていた。
透明マントを脱ぎ捨てたポッターに周りの生徒は再び歓声を上げる。
"生きていたんだ!" "ハリー!"と最初は沸き起こっていた声も、そのうち静まり返る。
ヴォルデモートとポッターがお互い一定の距離を保ったまま円をかいて動き出したのを見て見守る人々は恐れ始めたのだ。
落としてしまいそうになっている右手の杖をぐっと握りしめて、きしむ体をどうにか二人のもとへと動かそうとする。
意識がぶれるような、自分と外界が切り離されているような奇妙な感覚などなかったかのように、体に鞭を打つ。
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あやにゃん(プロフ) - ベルモットさん» ベルモット様、コメントありがとうございます。 話の筋は一緒でも、結構映画版と原作で違ってきますよね〜 それに原作でも言語で印象がかなり変わってくるので面白いところです(´˘`*) (2020年12月28日 19時) (レス) id: 64c80b7f49 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 死の秘宝を読みはじめました。近頃、原作を読んで気がついたところが、映画と原作の中で違いがあったり、映画オリジナルである部分もあったり、と見返して見ると考え深いですよね。 (2020年12月28日 4時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやにゃん | 作成日時:2020年11月20日 2時