道しるべ ページ26
ードラコ視点ー
"約束の一時間"が過ぎても帝王…いや、ヴォルデモート軍は襲ってはこなかった。
大広間にいた全員が近くの時計を凝視し、元気のあるものは盾呪文をいつでも唱えられるようにと利き手でぐっと杖を握っていた。
カチリ。大げさなほどに音を立てて時計の針が一時間たったことを示しても、何の攻撃も飛んでこなかった。
その事実に全員が安堵した。
少なくとも今はけが人が増えない。
考えることをやめざるを得なかった生徒たちは再び軽症の人の治療をしたり、友達と話をしたり、悲しんだり、もともと自分がしていたことを再開した。
その場にいた誰もが少し考えればわかることなのに。
誰も、ポッターが一人ヴォルデモートに立ち向かったことを認識しようとはしなかった。
嫌なほど心臓が音を立てる。
僕は臆病だ。
好かない奴だろうと、犠牲になるのは嫌だ。
でも、それが理由で行動が起こせるかと言われれば、無理だ。
僕は弱い。
廊下を歩いているロングボトムを見た僕は、声をかけようと少し迷ってそのまま伸ばしかけた手を下した。
近くに落ちていた瓦礫に腰を掛け、ずっと握りっぱなしだったAの杖を掌で転がす。
ポッターはおそらくもう…
レギュラスとAはアクションを起こしてこない。
思考に沈んでいるといきなり肩に手が置かれ、体が硬直した。
ぱっと振り返れば少し申し訳なさそうにこちらを見ているエルネスト…もしくはディゴリーがいた。
「ごめん、最初に声をかけるべきだったね。」
「いや、大丈夫だ…」
彼はごそごそとローブの右ポケットに手を突っ込んで三つ石をくれた。
深い緑。
「ダイオプサイト。
僕はもう探し物を見つけたから、君に譲ろうと思って。
迷子のような顔をしているから。」
左手に乗る大きさがばらばらの石を見る。
ダイオプサイト。
道しるべの石、とも言われたりするものだ。
魔法界ではいろいろな意味で道に迷う人が多いので、重宝されている。
魔法石は使い捨てなので最近は魔道具と呼ばれる何度も使えるものが一般的だけれど。
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あやにゃん(プロフ) - ベルモットさん» ベルモット様、コメントありがとうございます。 話の筋は一緒でも、結構映画版と原作で違ってきますよね〜 それに原作でも言語で印象がかなり変わってくるので面白いところです(´˘`*) (2020年12月28日 19時) (レス) id: 64c80b7f49 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 死の秘宝を読みはじめました。近頃、原作を読んで気がついたところが、映画と原作の中で違いがあったり、映画オリジナルである部分もあったり、と見返して見ると考え深いですよね。 (2020年12月28日 4時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやにゃん | 作成日時:2020年11月20日 2時