契約 ページ17
僕はマルフォイにもらった魔法がこもった石をダフネに託し、そのまま大広間の方へと向かった。
崩れた壁の陰で泣いている者、かろうじて壊れていないベンチに座り何かを飲んでいる者、死者の横に座り込み顔を暗くしている者。
こちら側には闇の勢力と戦うプロがいた。
スリザリン組は防御と回復の要として頑張ってくれていたはずだし、実際いまでも救護室では走り回ってくれている。
彼女達のおかげで生徒側の統率もかなりとれていたと聞く。
だというのに、あの有象無象のようなかき集めの死喰い人にここまで手ひどく傷つけられた。
僕は呆然と広間の真ん中で立ち尽くした。
立ち込める血の臭いと薄くまう砂埃。
いきなり肩をつかまれて振り返らされた。
そこには見覚えのある、僕と一緒の緑の瞳と目が合った。
「アルフレッド・キルシュナー先輩…」
先輩、今は闇祓いで主に魔族の相手を担当しているという。
特殊な聖なる剣を用いて切り倒していく様はまさに古代の王や騎士のイメージそのものだ。
「ハリー、Aは!」
いつもならハリー君、Aちゃんと呼んでいる彼なのに焦っているのか呼び捨てだ。
なんだかそんなどうでもいいことがどうしてか笑えてきてしまって
目にジワリと涙が浮かんできた。
だめだ。
僕がこんな人目があるところで泣いてしまっては。
自惚れとかではない。
僕がここで泣いてしまうと士気が落ちることは明らかだ。
ぐっとつばを飲み込んで、平常心を取り戻そうと努力する。
震える肩を押さえつけるようにおなかに空気を取り込んだ。
「先輩、Aは…ヴォルデモートに…殺されてしまいました。」
アルフレッド先輩の背後に立っていたレナ先輩は大きく目を開き、体がよろめいた。
手に持っているその大きな杖に体重をかけてかろうじて立っている状態のようだ。
「やっぱりあの感覚は契約がとぎれた…」
不思議そうに目線をやった僕にアルフレッド先輩は声を落として説明してくれた。
そうか…同盟を組んでいたのか…
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あやにゃん(プロフ) - ベルモットさん» ベルモット様、コメントありがとうございます。 話の筋は一緒でも、結構映画版と原作で違ってきますよね〜 それに原作でも言語で印象がかなり変わってくるので面白いところです(´˘`*) (2020年12月28日 19時) (レス) id: 64c80b7f49 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 死の秘宝を読みはじめました。近頃、原作を読んで気がついたところが、映画と原作の中で違いがあったり、映画オリジナルである部分もあったり、と見返して見ると考え深いですよね。 (2020年12月28日 4時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやにゃん | 作成日時:2020年11月20日 2時