父 ページ12
1978年。
ヴォルデモート卿が昔からの純血の名家、ブラック家に不信感を抱き始めたのはそう最近の話ではない。
反発して非純血主義を主張する兄の代わりに僕はどっぷりとつま先から頭まで闇側に浸かっていた。
まぁAがいたからそこまでやぶさかではなかった、のだけれど、だとしても納得できないことがたくさんあった。
でも僕はただの学生だ。腕に印があってブラックの名字を持っていようと、幹部には遠く及ばないし何を変えることもできない。
最終学年になった僕は彼女をとっかえひっかえするのをやめた。
勉強が忙しくなったのもあるけれど、一瞬しか満たされた気持ちにならないことに生産性を感じられなくなったのだ。
彼女と称される女生徒と話をしているよりも、知識をつけていつかAの役に立とうとそういう思いの方が強かったと思う。
そんなときだった。
学校の木の葉が色づいてきて、そしてはらはらと芝生に落ちてきたころ。
僕は血相を変えた当時の寮監のスラグホーン先生に呼び出されて僕の父が死んだことを伝えられた。
悲しみはさほど感じなかった。
いや、感じたのかもしれないけれど、僕がブラック家をどうにかしなければいけないのでは、という考えが自分に重くのしかかって息ができなくなった。
ブラック家を捨てて出て行った兄。
死んでしまった父。
ヒステリックにいつも怒っているばかりの母。
ブラック家を信頼していないも同然の闇の帝王。
何もかもに板挟みにされた気がして、多分僕は狂い始めていたのだと思う。
自分では一向に帰る気が起きず、のちにバーティから聞いた話だと、ゾンビのような顔で学校生活を送っていたらしい。
父が死んだと聞かされてから数日、確か土曜日。
午後になり、午前の自習の時間を終わらせて図書館へ調べ物をしようと談話室でぐずぐずしていた時、ダンブルドア先生とスラグホーン先生に付き添われてAが入ってきた。
「レギュラス。こんなに顔色悪くして…
バーティ、荷物まとめておいてもらえましたか?」
「あぁ、ここに。」
いつの間にか談話室にある僕のスーツケースを持ったAはざわつく談話室の生徒に目もくれずにそのまま校長室に向かっていった。
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あやにゃん(プロフ) - ベルモットさん» ベルモット様、コメントありがとうございます。 話の筋は一緒でも、結構映画版と原作で違ってきますよね〜 それに原作でも言語で印象がかなり変わってくるので面白いところです(´˘`*) (2020年12月28日 19時) (レス) id: 64c80b7f49 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 死の秘宝を読みはじめました。近頃、原作を読んで気がついたところが、映画と原作の中で違いがあったり、映画オリジナルである部分もあったり、と見返して見ると考え深いですよね。 (2020年12月28日 4時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやにゃん | 作成日時:2020年11月20日 2時