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瞳孔がゆっくりと広がっていくスネイプの暗い目が僕をとらえた。
話がしたいのか。なんとなく僕はそう思って男の前に跪いた。

どこにそんな力があったのか、スネイプは僕のローブの胸元をガッとつかんで引き寄せた。でも、声で何かが伝えられることはなかった。

どうにか、レギュラスだったら開心術でスネイプの言いたいことがわかるのではないだろうか。僕はそう思い、背後に立つレギュラスを見上げる。
レギュラスはヴォルデモート以上の冷たい目線を僕とスネイプに向けていた。その視線だけで何人殺せるだろう。本能的に今は話しかけてはだめなのだと、そう思った。

でもその目を見ていないハーマイオニーはもはや悲鳴のように甲高い声でレギュラスにどうにかするよう懇願する。
どうか刺激しないでほしいと、スネイプの意思を聞きたいという僕の気持ちはどこへ行ったのか、とりあえずハーマイオニーに心から黙ってほしくなった。


つめたいため息が聞こえる。

心臓を直につかまれたかと思ったほどに痛む。

僕のローブをつかんでいた手はドサリと床に落ち、スネイプは目から青みがかった銀色の、気体でも液体でもないものがあふれ出ていた。

僕はそれが何だか知っていた。ダンブルドアがたくさんコレクションしていた記憶とおなじもの。でも僕にはそれを受け取るものが何もない。

顔をぐちゃぐちゃに濡らしたハーマイオニーがどこからともなくフラスコを取り出し、僕の震える手に押し付けた。彼女の手も大きく震えていて、受け取るのに一苦労した。

汗と涙と血が混じったスネイプのその銀色の何かをフラスコいっぱいに汲み上げた。
もう一度スネイプの黒い目を見れば、すこし表情が揺らいだ。
僕の緑の目。母さんの、スネイプの最愛の人の目。

ゆっくりと目は閉じられ、再び自力で開かれることはなかった。
 
 

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あやにゃん(プロフ) - ベルモットさん» ベルモット様、コメントありがとうございます。 話の筋は一緒でも、結構映画版と原作で違ってきますよね〜 それに原作でも言語で印象がかなり変わってくるので面白いところです(´˘`*) (2020年12月28日 19時) (レス) id: 64c80b7f49 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 死の秘宝を読みはじめました。近頃、原作を読んで気がついたところが、映画と原作の中で違いがあったり、映画オリジナルである部分もあったり、と見返して見ると考え深いですよね。 (2020年12月28日 4時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あやにゃん | 作成日時:2020年11月20日 2時

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