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信じられない ページ1

―ハリー視点―

正直に言って、今起こったことはなに一つも信じられなかった。
信じられるものか。だって、あのAが、だ。簡単に、肉塊になるなんて、ありえない。


あたりいっぱいに鉄の臭いが広がって、呆然とする。ヴォルデモートがその場を去ってすぐに、僕たちのものではない4人目の足音が聞こえた。レギュラスだ。

Aの最後の彼への愛の言葉を聞いていたのか、レギュラスの目からはとめどなく涙が流れ、顔面蒼白。
服にはいくらかの汚れがついているくらいなものの、その雰囲気といい、誰が見ても満身創痍だと、そういうだろう。


でも彼の奇行はそれで終わらなかった。
蝋のように白い顔のスネイプを見下ろしてから、ぽつりと赤い水たまりに放り出されたAの心臓を手に取り、自分の胸に押し付けた。
抱きしめているのか、気が狂ったのかと僕とロンはぎょっとした。
多分自分以上に焦っている人がいると冷静になる理論、のようなものだと思う。レギュラスの狂気は、人が二人も目の前で殺されたのを目撃した僕やロンの狂気を軽々と上回った。

それもそうか。
最愛の人が、おそらく最初で最後の愛の言葉を述べてさっていったのだから。それも、最悪の奴の手にかかって。

 
レギュラスの手にあった心臓はゆっくりと光を放ち、彼の胸の中に溶け込んでいった。取り込まれた、といったほうが正しいのかもしれないが…僕には正直何をしているのかは全く分からなかった。

力を振り絞って体を動かす。
ずっと縮こまっていたのと、ばれるのではないかと息を最小限にしていたので立ち上がった時にくらんでしまった。

何かを言いたげなスネイプははくはくと口を動かしていて、唇の間からはわずかばかりの空気が漏れるだけだ。あれほど憎んでいた男が、在学中にどうして殺してやろうか、仕返ししてやろうか考えていたこの男が、ここまで弱っているのを見るとなんだか滑稽な気持ちになった。
 
 

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あやにゃん(プロフ) - ベルモットさん» ベルモット様、コメントありがとうございます。 話の筋は一緒でも、結構映画版と原作で違ってきますよね〜 それに原作でも言語で印象がかなり変わってくるので面白いところです(´˘`*) (2020年12月28日 19時) (レス) id: 64c80b7f49 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 死の秘宝を読みはじめました。近頃、原作を読んで気がついたところが、映画と原作の中で違いがあったり、映画オリジナルである部分もあったり、と見返して見ると考え深いですよね。 (2020年12月28日 4時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あやにゃん | 作成日時:2020年11月20日 2時

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