勇敢 ページ9
「だいぶ顔色もマシですね。
癒者の不摂生とはこのことです。」
まぁ、未来の癒者、なのだけど。
「手厳しいなレギュラス…
薬まで煎じてもらって申し訳ない。」
『魔石７つ頂いた分のサービスですよ。
頑張りましたからね、ドラコ。』
レギュラスと私によしよしされるドラコは照れたように顔をふいと横に向けた。
他愛のない雑談をして、ドラコの情緒を安定させる。
地雷に触れないように学校そのものの話題は避けたり、誰か個人についての話題を。
「…そんなに気を使わなくても、僕はもう大丈夫だ。
ダンブルドアを追い詰めたことを背負わなければいけない。
その事実を消し去っては…人間として終わっていることを示しているようで嫌なんだ。」
だからあまり気を使わないでくれと彼は微笑んだ。
手は少し震えていて、あの時のことを思い出したのか笑顔は引き連れている。
でもそんな姿の彼を、勇敢だと思った。
色々な勇敢さがこの世の中には存在する。
敵に向かうこと。
仲間に向かうこと。
正義を貫くこと。
難しいことをやり遂げること。
でもそれらには当てはまらない、人間が最も恐る事を、非を認めること、そして事実を受け止めることをドラコはしようとしているのだ。
私のように非を認めきれずに罪滅ぼしのために何か行動を起こすようなことはなく、ただただ、受け止めた。
ーーーーーー
「閉心術の方はどうでしょう？」
レギュラスは落ち着いたドラコにとうた。
レギュラススペシャルのペパーミントティーを煎じてもらって、３人で飲んでいる。
シシーさんとルシウスさんはリビングのテーブルの片付けをしているのか、他の死喰い人が帰らなくて追い出そうとしているのか寝室がある上の階にはきていない。
「一応は効いていると、思う。
あの方が僕を疑うようなそぶりは…なかったかと。」
去年学校にいる間に私とレギュラスで閉心術について少し教えていたのだ。
それがドラコの身を守るために一番必要なのではないかと、シシーさん立ってのお願いだった。
『これでダメでしたら私達共々ナギニの朝ご飯でしょうから。』
「それは…笑えないな。」
そう。
まだ生きているということは、まだ私たちが隠していることが、バレていないということだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 43人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやにゃん | 作成日時：2020年5月5日 2時
