”食事” ページ8
「さて、今夜は素敵なゲストをお招きしているのだ。チャリティ・バーベッジ先生だ。ついこの間までホグワーツでマグル学を教えておいでだった。」
目を覚まして痛さに声を上げ始めた女性を向こうの方から、新しいルシウスさんの杖でこちらへ引っ張り出してきた。
あの人は傷だらけのその人を舐めるように見回してこういう。
「彼女がいうに…マグルは我ら魔法族とさほど変わらず、交わることは悪くはない…とか？」
何の冗談を言っているんだか。
そう言わんばかりに周りの死喰い人達は笑い始めた。
ドラコはその惨状に直視できずに震えて、セブルスは心の全てを閉ざして冷たい視線を送っていた。
『血の匂いが…気になるのですけど？』
目の前に半分死体のようなそれが浮かんでいる状況は、自分にとってよろしくなかった。
悪臭がするとは言わないけれど、血の匂いというのは特段好きなものではない。特に何の感情も抱いていない人の血の匂いとなると、どちらかと言えば臭いよりにあるのだから。
「…仕方がない…アバダケダブラ。
ナギニ、夕食だ。」
面白くないものの、私に機嫌を損ねられても何だとあの人は思ったのだろうか。
日常会話をしているような気軽さで死の呪いを放って、大蛇のナギニに夕食として人を与えた。
ゴクリと丸々飲み込まれて、人の形にナギニが膨らんでいて動けなさそうだ。
魔法省の仕事があるのでそろそろ帰りたいと思いながらも、しょうがないので食事シーンを拝見する。
ーーーーーー
『少しスッキリしましたか？』
あんなシーンを見て平然としていられる方が確かにおかしいのだ。
マルフォイ邸が本部としてあの人に占拠され、ナギニの夕食シーンを間近で見てしまい、さらには父への失望と、自分への期待を目の当たりにしたドラコは洗面器にしがみ付いていた。
フルフルとゆっくり顔を振って、また気分が悪くなったのか右手で胃のあたりを掴んで顔を下げた。
出すものが何もないせいで苦しそうだ。
「カモミールとジンジャー持ってますっけ？」
レギュラスは私に聞いた。
どちらも吐き気などの消化器の問題に効くような薬草だ。
『他に数種類か鞄に入ってると思いますよ。
検知不可能拡大呪文がかかっているのでアクシオで呼び寄せるのが一番早いかと。』
了解ですと頷いた彼は鞄を置いてあるドラコの部屋へと足を向けた。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2020年5月5日 2時
