友人 ページ49
いつもよりも静かで、生気のない新入生歓迎会が開かれた。
怯えた様子の新一年生はマクゴナガル先生に名を呼ばれて組み分け帽子をかぶり、寮に割り振られていく。
迎える側の生徒は控えめな拍手で、入り口付近に立つ死喰い人の機嫌を損ねぬようにか、チラチラと様子を伺いながら歓迎をする。
「さて…今年は防衛術とマグル学に新しい教授を迎えることとなった。知っているものも多かろう…レギュラス・ブラック先生だ。
スリザリンの寮監にも新しく就任してくださった。」
手短に僕を紹介したセブルス先輩は僕を立つように目線で促し、自ら少しやる気の感じられない拍手を送る。
しょうがないとゆっくりと立ち上がり、生徒を見回してみる。ほう、教師が座るここからみる景色というのも悪くはない。
スリザリン寮で目を見開く生徒に一瞥をやった。
「では晩餐を楽しみたまえ。」
心底楽しめるような雰囲気ではないなか、セブルス先輩がさっと手を振れば卓上にたくさんの食事が並んだ。
例年と変わらない。
それもそうか。作っているのは屋敷僕妖精なのだから。
重苦しい空気でも下級生は無邪気に周りと話しながら食事を始めている。上級生は、特に７年生あたりは畏縮仕切っているものもいて少しかわいそうに思えた。
小さくため息をついて、自分の前に置かれている銀皿を左手に、大皿のお肉やマッシュポテトなどをよそい始めた。
ーーーーーー
「ちょっと、待って…ブラック先生！！」
食事が終わり、夜の見回りをしていたところ遠いところから誰かに呼び止められた。
なんだというのだ…部屋に帰って休ませてほしい。
廊下の向こう側から走ってやってきたのは同じく見回り中の監督生、パンジーだった。
ぼんやりとブラック先生と呼ばれるのは慣れないななんて考えながら、どうしましたといつもの調子で聞いてみる。
「どうしましたって、貴方…」
色々と言いたげな彼女は口をつぐんでまっすぐと目を見てくる。
いつもより大きな身長差に少し違和感を感じた。
「死喰い人なのは知っていたでしょう？」
「そりゃ、まぁ…でも普通友人が教師になったら驚くと思うわ」
彼女の口からでた友人という言葉に驚く。
この後に及んでなんの躊躇いもなく、僕との関係をその言葉で表した彼女は口を開かぬ僕を見て少し不思議そうに顔をしかめた。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2020年5月5日 2時
