９月１日 ページ45
９月１日。
朝１１時に出発する真っ赤なホグワーツエクスプレスを前にする。
自力で城まで向かってもいいらしいけれど、正直寝不足で疲れているから魔法を使うのが億劫だ。
それにどちらにしろ汽車には教員が一人か二人乗っていないといけないらしく、あの人的には僕に乗って欲しそうだったので意見は一致しているわけだ。
出発の１時間前には流石にまだ誰もきていないようだ。
とりあえず検知不可能拡大呪文をかけた革のアタッシュケースをコンパートメントの棚に乗せておき、ここは一人座っているのだと主張するように濃いワインカラーのローブを席に置いておく。もちろん盗られたり動かされないように魔法をかけてあるので問題はないだろう。
静かな駅に一人ポツンと磨き上げられた車体にもたれかかって大きなあくびをする。
ポケットに入っている飴玉を口に放り込めば眠気を紛らわすようなどぎついペパーミントの味が広がった。
３０分前になればやっと人影が出てきて、僕に視線が集まる。
誰だろうか、という視線と、あの人どこかで見たことがある、というような視線だ。
少し居心地が悪くなってきて、再び汽車に乗り込んで一番後ろのとってあったコンパートメントに乗り込む。
窓際の席に座れば吹き飛んだ眠気は一瞬で戻ってきて…気づいた頃には深く眠りについていた。
計１３年弱通ったにもかかわらず学校の卒業証書を持っていない僕が教師になるだなんて、誰が思っただろうか。
そもそも教師なんていう、人に何かを教える立場は向いていないと思うし、個人的には黙々と研究していたり事務作業をしている方が好きだったりする。
A曰く僕は人と接している時の方が生き生きしているらしいけれど…
セブルス先輩改めスネイプ校長が僕に与えた立場は闇に対する防衛術とマグル学の教授そしてさらに寮監。
防衛術は、まぁ、できなくはないし、マグル学は…多分他に適任者がいなかったのと、前任が謎の失踪という名の死を遂げたので誰も付きたくなかったのだろう。
スリザリン寮だけはせめて手中におさめておきたかったのか、それとも守りたいのか意図は読めずとも、僕が担当することとなった。もちろん一年目でこれほどの教科を持つのは難しいとの配慮があり、副寮監としてスラグホーン先生がつくことになっている。その配慮があるならば、最初から彼を寮監に任命してほしかったものだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 43人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやにゃん | 作成日時：2020年5月5日 2時
