吸血鬼性 ページ35
ーA視点ー
「なんかそう言えばかなり長い間ここにいるみたいに聞こえるけど、まだ２ヶ月も立っていないんだよね。」
…それを聞く限り、私がレギュラスと体を重ねて…子供ができたことが原因みたいだ。
魔力供給が間に合わなくなったり何か問題が起こったのだろうか。
『セドリックの推測通り…そう、私が貴方を死なせたくなかったんです。
だから、こうやって２年間…勝手をしてごめんなさい。』
「ううん…今は会えなくても、両親に会えるんだ。
だから謝らないで。僕は生きていられて…嬉しい。」
『あと…仮死状態にするにあたって、かなり私の血を貴方に使ったのですが…
何かその後遺症だとか、そういうのを感じたことはありませんか？』
気になっていたこと、そのいち。
吸血鬼性があるのではないのか、という点について。
吸血鬼の"毒"よりも弱いとは言え、血も影響力がある。
アーサーさんの時のようにそもそも何も発現しなかったり、レギュラスのように見た目があまり老けないだとか…
まぁ最悪レギュラスのような、"悪くない"吸血鬼性であれば問題はないのだけれど、これで吸血衝動のようなものが出てしまえばよろしくはない。
「あぁ…少し血を見ると妙に…なんだろう、ざわつくけど。
それ以外は特に何も。まぁ、魔法は見ての通り杖がないからあまり使えないんだけど。」
『杖でしたら、グレゴロビッチさんとオリバンダーさんの強盗された杖をいくつか拝借してきましたので合うのがあればどうぞ使ってください。』
吸血衝動まではないようだけれど…これはできれば血を見ずに戦う方法を教えた方がいいのかもしれない。
あと、見たとしてもコントロールする方法。
どこぞの頭のおかしな死喰い人が大量に持ち帰ってきた杖の中から１０本ほど持ってきたものを広げてみる。
吸血鬼は闇の属性を持っているから…ユニコーンの毛が芯なのは除外して、ドラゴンの琴線なんかが良いだろうか。
木の素材までは残念ながら瞬時には見分けがつかない。けれど、浄化の性質を持ったものはないはず。
「…これ、かな。」
セドリックは手を選ばれた４本の杖のうえにかざすと、吸い寄せられるように一本のそれに触れた。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2020年5月5日 2時
