【ハリーポッター】吸血鬼少女は逃亡する【１４章】 (ページ24)

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望まれぬ客ページ24

「ちなみに、二人はどこまで知っているの？」

ハーマイオニーは赤いドレスを揺らしてこちらに歩いてきた。
肩にポシェットをかけていて…これは準備をしているな。

『残念ながらあんまり何も聞かされていないのです。
それはまぁ、敵陣地とのパイプ役に計画をペラペラと喋る頭の悪い人はそうそういませんけども。』

私はそう言って彼女のポシェットを、誰にも見られないように指を差す。
まっすぐと目を見て一度瞬きすれば彼女はそうよ、と頷いた。

彼女の腕を引いて、一旦外に出る。風がさわさわと草原を揺らして気持ちの良い音を立てる。
刈り取られたばかりの芝生の青い香りが鼻腔をくすぐる。

『試験管かそういうものを三本ほど持っていますか、ハーマイオニー。』

彼女はポシェットの縁を杖で軽く叩いて三本のクリスタル製の瓶を取り出した。
ホグワーツの薬学で使っていたものだ。軽くて丈夫。毒を入れても一度閉めれば開けようという意思が働かない限り漏れない優れもの。

左人差し指を口元に持っていき、そのまま犬歯をぷつりと刺し込んだ。

溢れ出る紅を試験管に分けて、半分くらい溜まったらそれを人差し指で叩いてペンダント状に変化させた。
クリスタルガラスに染み込んだそれは、ペンダントを真っ赤に染める。

『はい、きっと何かしらに役立ちますよ。
魔力が空になった時とか、普通では実現が難しいような攻撃魔法とか。ただ気をつけるべきなのは、白魔法は普通の人の１０分の１以下の威力になるということで…』

ジクジクと胸の闇の印が痛んだ。
熱くなって…怒りではなく、どちらかといえば喜びのような。

早口に説明を終わらせて戸惑う彼女にそれを握らせる。

とぷりと結界内に何かの侵入…キングズリーの守護霊のようだ。

「嘘、今魔法省が落ちたって…」

ハーマイオニーはふわふわの巻き毛を跳ねさせてこちらを振り返った。

『えぇ、ですから。
ハリーとロンと早く』

混乱が始まる前に、そう言おうとすれば聞こえてくるのは結界が派手に壊れる音、そして来客の悲鳴、姿眩ましの音だった。
　