【ハリーポッター】吸血鬼少女は逃亡する【１４章】 (ページ2)

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逃亡ページ2

「なぜ戦わない、臆病者！」

すべての呪文を避けるか防御壁で遮断する私たちに、ハリーはそう叫んだ。

どうして、私達が貴方を傷つけたくないからと分からないのか。
今だって拘束してあの人の前に差し出すのは簡単なことなのに。

『でも勇敢なあなたは私達を殺そうとはしないのでしょう？
なにより貴方の魔法から殺したいという憎しみまでは感じられません。』

そういえばハリーは一瞬怯んだように攻撃をやめたが、次にもう一度力任せに杖を振ってセクタムセンプラをセブルスに唱える。

「我輩の呪文を本人に対してかけるとはポッター…どれほど愚かなのだ。
そう、我輩こそ"半純血のプリンス"だ。貴様が探し求めていた、な。」

ハリーはセブルスの無言呪文で杖を吹き飛ばされて、いつの間にか仰向けに寝ていた。

どうせなら殺してしまえよと喚く彼に再びため息を吐きたくなる。

殺せる機会なんていつでもあったのだ。

その気になれば学校ごと倒壊させることも、一年生のまだ攻撃呪文を知らない頃に、若いうちに芽を摘んでおくことだって。

『もう少し考えなさい、ハリー。
それができると信じたから、ダンブルドア先生は貴方に託したのです。』

戦意がないと判断した私はセブルスの袖を引っ張って学校の敷地外へと急いだ。

暴れ柳を通り過ぎて、禁じられた森の横を歩き、そして湖を迂回する。

苦しそうに息をするドラコは湖の水で顔を洗ったのか服はびしょ濡れだったし、レギュラスの顔からは表情が抜け落ちていた。

『もう魔法大臣に知らせがいったはずです。
捜査が始まる前に、家を戻りましょう。』

ドラコは誰についていきますか、と問えば彼は縋り付くように私のパーカーの裾を握った。

『セブルスはどこへいきますか？』

「我輩は…一度スピナーズエンドまで戻るとしよう。
それから…」

「身の回りのものを持って僕たちのところに来てください。
使えそうな屋敷なら僕もAもいくつか持ってますから。」

レギュラスははっきりとしないセブルスにそういった。
どうやらいち早くこの場を離れたいようで、少し苛立ちのようなものを感じた。

姿眩ましをできるような精神状態にないドラコの右手を、左手はレギュラスが握って屋敷を思い浮かべる。
　