書き取り ページ7
「それで、あなた達は何を企んでいたのかしら？」
綿菓子の数倍甘ったるい声を聴かせながら私の頬を杖で撫でた。
他人を杖で触れると言うのは、マグル界では銃口を向けられているのにも等しい。
心臓が音を立てるのを無視して微笑みを浮かべる。
何を言うわけでもなく、口を弧を描かせていれば苛立ちが頂点に達したアンブリッジに平手打ちをされた。
まぁ、杖を使われなかっただけマシだろうが。
その後魔法省勤めのお役人さん達が私たちの首根っこを掴んで校長室へと連行する。
「この紙が証拠ですわ！
ダンブルドア軍団。そう書いてあるのをお読みになれますわね？」
アンブリッジが突き出す紙を流し見たダンブルドア先生は頷いた。
いかにも、と答えた先生にハリーは反論する。
先生のせいなんかじゃない、と。
「じゃが紙にはダンブルドア軍団と…ポッター軍団ではない」
スタンドにとまる不死鳥のフォークスを撫でながらダンブルドア先生は穏やかにそう言った。
その姿に大臣は苛立ったようにアズカバンに連行するようにと命令を下す。
幾ら何でも、それは明らかにおかしいが…正気でない彼に正気の決断はできるわけないだろう。
「そのことについてじゃが…そう簡単にアズカバンに行く気はないでの。」
ちょっと待ってくれ、と言わんばかりに手で制止するような仕草をして校長机の後ろに戻る。
警戒するように杖を構えた大臣の部下はダンブルドア先生に睨みを効かせた。
ばっと両手を上げたかと思えばダンブルドア先生とフォークスは炎に飲み込まれて消える。
熱気と散乱した書類を残して。
ぽかんとしている大臣はとりあえず私達を解放するように言った。
「Aは知ってるものもいるだろうが魔法省で働いている。
あまり手荒な真似は控えたまえ。…殺されたくなくばレギュラスにも手を出さないほうがいい。」
私に免じて罰則は帳消しになるかとも思ったが、アンブリッジの怒りはまだ高いレベルにあるらしく珍しく大臣に反論を入れた。
「お言葉ですがコーネリウス、魔法省勤めだとしても校則を破ったんですもの、罰則は逃れられませんわ」
ピンクのヒールをカツッ、と鳴らして一歩前に踏み出した彼女は腰に手を当ててブリブリと怒っている。
ここで押さえつけるのも後々面倒なのか、大臣はあまり手荒な真似は…と言って、黙認した。
やはり、この女、一筋縄で追い出せないだけあるらしい…
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年9月2日 3時
