整理 ページ42
『さて、とりあえず私達結婚することにしました。』
大量の書類を持って現れた屋敷の主人と同居人が突然結婚宣言をした場合、使用人二人はどう反応をするでしょうか？
という、意味のわからない質問に対する答え。
答えは驚きの絶句とやっとかと言わんばかりの笑顔でした。
「えっ、あの、突然ですねっ？」
キャロルは手に持ったお盆で口元を隠してきゃーと悲鳴を上げる。
なんだか嬉しそうにスカートがひらひらしているところがあざといなぁ…
「おめでとうございます。
式の方はもう考えているんですか？」
あくまでも冷静に次のプランを聞いてくるフィニに私は首をふった。
まだまだブラック家とうちの遺産問題もあるし、これからの戦争に備えて対策を立てねばならないのでこんなことをしている場合ではない。
「というのも、お金の問題をとりあえず片付けておこうという話になりまして。
それだったら保険とかの話、僕たちが少なくとも書類上で夫婦であれば色々と面倒がなくなるのではと思った次第です。」
シリウスはタウンハウスを含め大方のもの、７１１番金庫のもの、そして屋敷しもべ妖精のクリーチャーをハリーに残した。
それ以外の彼らの両親から受け継いだ領地やら財産は基本的にレギュラスが受け取っている。
が、残念ながらそこら辺の線引きな曖昧なもので、今一度確認をしなければならないのだ。
二人の叔父、アルファード・ブラックがシリウスに財産をいくらか受け渡しているため、そこら辺の処理が曖昧になっているわけである。
「なるほど。
それでこの書類の量な訳ですね…
となると、その該当者であるハリーさんに来ていただく感じになるんですか？」
キャロルが山積みになった書類を眺めながら聞いた。
まぁ、そうはなるとは思うけれど…
今のシリウスがいなくなった精神状態で、しかもまだ未成年なので一人呼ぶわけにもいかないし…どうすればいいのやらと迷っている最中である。
「…ではとりあえず、呼ぶために手紙を書きましょうか。
便箋をとってまいります。」
やることの多さに混乱している私を導くようにフィニは一旦席を外して書斎のレターセットを取りに行ってくれた。
さて、どうやって文字を綴ったものか…
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年9月2日 3時
